Q.漢方薬には副作用はある?
漢方薬は、西洋薬と比較してマイルドで安全性が高いイメージがありますが、医薬品ですので適正に使用しないと副作用が起こることがあります。
たとえば、葛根湯や防風通聖散など、麻黄(まおう)を含む漢方製剤では、交感神経を刺激することがあるため、まれに動悸、頻脈、不眠、血圧上昇、排尿障害、発汗などが起こることがあります。心疾患のある人には要注意です。
また、甘草(かんぞう)を含む漢方製剤を複数、または長期間使用することで、血圧上昇、浮腫、低カリウム血症による手足のしびれ、倦怠感、脱力感、食欲不振、頭痛などの症状が起こる「偽アルドステロン症」という重大な副作用を招く可能性もなくはありません。その他、大黄(だいおう)が効きすぎると下痢や腹痛などが生じることもあります。
さらに、稀ですが、小柴胡湯(しょうさいことう)、柴朴湯(さいぼくとう)、柴苓湯(さいれいとう)などでは、咳、発熱、呼吸困難などの症状があらわれる重篤な「間質性肺炎」を生じることもあります。
このような症状があらわれたときは、すぐに服用を中止し、医師の診断を受けてください。
Q.漢方はどうやって選べばいいの?
漢方薬を選ぶときには、その人の病気に対する抵抗力や体力、体質などを考慮した「証」という漢方独特の指標を用います。
これは、病気の進行がどの程度なのか、不調に対してからだがどのように戦っているのか、からだが冷えているのか、火照っているのか、食欲があるかどうかなど、からだ全体の状態をみて決めます。
また、漢方ではからだを巡る3つの柱である「気」「血(けつ)」「水」を物差しにして考えます。
「気」とは、生命を維持するための精神的なエネルギーを意味し、自律神経などもこれに含まれます。人が生きていくために一番大切なものです。
「血」は、血液や血液が運ぶ栄養素のことです。さらに「水」は、血液以外のリンパ液、涙、唾液など代謝に関わる体液を指し、老廃物を排出する機能をもちます。
これらの3つの要素がバランスよく影響し合いながら、うまく巡っている状態が健康とされているのです。
しかし、どれかが不足したり、巡りが悪くなったりすると不調が起こります。そこで、足りないものを補い、滞りを改善することで全体の体調を内側から整えていくのが漢方薬です。