最近よく耳にする「腸活」という言葉。みなさんは正しい意味や、そのメリットをご存じでしょうか。
便秘などトラブルのないきれいな腸を保つことは、健康面やダイエット、美容の面でうれしい効果がたくさんあります。
今回は「腸活」がもたらすメリットと、具体的な実践方法を紹介します。
1. そもそも「腸活」ってなに?
腸活とは、腸内環境を整えて良好な状態に保つことをいいます。
腸内環境は「善玉菌」と「悪玉菌」、さらにどちらにも分類されない「日和見菌」で構成されています。
腸内細菌のなかで一番数が多い菌は日和見菌で、次に善玉菌が多く、悪玉菌は少数です。これらの菌は互いに密接な関係をもち、複雑にバランスをとっています。
健康的な腸内環境とは、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が優勢であり、そのほかの菌が劣勢である状態をいいます。この状態を目指すために行うのが「腸活」なのです。
2. いいコトだらけ! 腸活のメリット4つ
それでは腸内環境が整うと、どのような効果があるのでしょうか。具体的にみてみましょう。
2-1. 肥満予防になる
腸内環境がいいと、肥満予防に効果があるとされている短鎖脂肪酸(酢酸やプロピオン酸、酪酸など)が大量につくられます。
その理由は、短鎖脂肪酸が腸内細菌によってつくられているからです。たとえば、善玉菌の一種である酪酸菌はプロピオン酸や酪酸をつくり、ビフィズス菌は酢酸をつくります。
腸内環境が整えば短鎖脂肪酸が増え、太りにくい体質を手に入れることができるということは、東京農工大学の木村郁夫教授らが論文でも発表しています。
2-2. 肌がキレイになる
肌には排出機能があります。腸内の悪玉菌が増えると、悪玉菌によって発生する有害物質が血液中に流れ出します。この血液が全身をめぐり、最終的に毒素として肌から出されると、肌荒れや吹き出物、毛穴の黒ずみなどさまざまな肌トラブルの原因となります。
とくに、便秘は肌荒れの原因となります。便秘は腸のぜん動運動を停滞させ、悪玉菌を増やしてしまうからです。
つまり、悪玉菌を増やさないよう腸内環境を整えれば、肌トラブルを抑え、肌質の改善が期待できるのです。
2-3. メンタルが安定する
腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれ、ホルモンや自律神経を介して密接につながっています。
神経伝達物質のセロトニンは、脳や腸でつくられます。腸内のセロトニンは腸のぜん動運動を促し、脳内のセロトニンは精神の安定に関与します。
それぞれ役割は別ですが、腸でつくられた大量のセロトニンは腸脳相関によって脳にも影響し、メンタルの安定につながると考えられています。
2-4. 免疫力がアップする
腸には、私たちのからだを病原菌やウイルスの外敵から守る「腸管免疫(ちょうかんめんえき)」という免疫システムが備わっています。
この免疫は、病原体の発見や情報伝達、病原体そのものへの攻撃など多くの役割を担っています。腸管免疫は腸内環境が悪くなると機能が弱まり、病原菌が体内で増殖を始めてしまいます。
そのため、腸内環境を整えることは、健康なからだを守ることにつながるのです。