ソウルを、いや韓国を代表する生マッコリ「長壽」。コロナ禍のあいだにボトルが緑から透明に変わった

渡航の手続きもコロナ禍前と同じように簡素化され、自由に韓国を旅行できるようになった2023年。

今回はソウル中心部から地下鉄で45分で行ける、軽登山と生マッコリを楽しめるコースを紹介しよう。

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  • 「一字山酒幕」の豆腐キムチ
  • 「一字山酒幕」の干し鱈(手前)
  • 「一字山酒幕」のビニールハウス(初夏)
  • 「一字山酒幕」のビニールハウス(秋)
  • バギー車の後部に掲げられた、マッコリ酒場「一字山酒幕」(通称)の案内看板。正式な店名は「一字山カフェ」(秋)
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  • 乙支路3街駅11~12番出入口の南側にはかつてコルベンイ横丁があった。コルベンイとはツブ貝のことで、缶入りの身を干し鱈やネギとともに唐辛子やニンニクのソースで和えたもの。韓国ではコルベンイにはビールと相場が決まっている
  • スーパーのビール売場。クラフトビール(左手)だけでなく、海外のビール(右手)も豊富
  • コンビニの冷蔵庫には缶のデザインも洒落ているクラフトビールがいっぱい
  • 最近はソウルだけでなく、地方にもクラフトビールの専門店ができている。写真は慶州(キョンジュ)で土日だけ営業する「weekend common」でくつろぐ筆者
  • 夏になると、乙支路3街の路地裏はプラスチックのテーブルで埋め尽くされる。昨年、「OBベオ」や「ミュンヘン」が撤退し、「満船HOF」の一人勝ち状態で、店の選択肢が少ないのが惜しい。ガーリックチキンが20000ウォン、砂肝14000ウォン

トレッキングに最適な山に囲まれているソウル

一字山のゆるやかな山道(春)

韓国の中高年は軽登山が大好きだ。国民的レジャーと言ってよい。

南山、北漢山、北岳山、仁王山、安山、峨嵯山、冠岳山、清渓山など、首都ソウルは周囲を山に囲まれている。

週末になると地下鉄車内では登山服の姿の人たちをよく見かける。そして、山のふもとの酒場では下山酒として、マッコリを飲む人が多い。もともと、マッコリは農作業の合間に飲んで昼寝して体力を回復させる酒だからだ。

私にとって山歩きはマッコリの肴だ。いや、美味しいマッコリを飲むことこそが山歩きの目的と言ってもいい。

最近、お気に入りの軽登山コースを見つけた。私が住むソウルの東のはずれ、江東区・遁村洞(トゥンチョンドン)と京畿道・河南市(ハナムシ)にまたがる一字山(イルチャサン)だ。ソウルのはずれと言っても東大門市場辺りから地下鉄で45分ほど。

標高143mの低い山だ。南北に約5kmの山道が延びている。その道が平坦で漢字の「一」のように見えることから一字山と名付けられた。

スタートは地下鉄9号線「中央報勲病院」駅から

最寄り駅「中央報勲病院駅」の3番出入口

出発は地下鉄9号線の終点「中央報勲病院(チュンアンポフンピョンウォン)」駅の3番出入口。

そこから山に入ると、途中で薬水(ヤクス=湧き水)と出合える。ポリタンクを片手に湧き水を汲もうとする人が列をなしている様子を韓国ドラマや映画で観たことのある人もいるだろう。

一字山のふもとに韓国を代表する生マッコリ「長壽」の江東製造場があるが、これは偶然ではなさそうだ。

ソウルには「長壽」を醸す製造場が5つあり、製造場ごとに味に微妙な違いがあるといわれている。おそらく水質の違いだろう。

一字山には季節ごとの表情がある。寒い冬を乗り越えた木々の間から差し込む光があたたかい春、新緑が眩しい初夏、そして、登山後の冷えた生マッコリがひときわ甘露な夏。

散歩の途中で、子犬連れのおばさんや、民族服姿が仙人のような白髭のおじいさん、おしゃべりしながらゆっくり歩いている老夫婦らと出会う。

道中、もっとも勾配のきつい木の階段を上ると、いくつかの行先案内板が目に入る。そのなかから「屯窟(トゥングル)」を指す方向に歩いて行く。

「屯窟」とは高麗時代の学者・遁村李集が隠遁していた窟があったところだ。今の遁村洞という地名は李州の雅号に由来している。

遁村李集が隠遁していた一字山の窟(秋)

「屯窟」の近くには、プラスチックのテーブルとイスが無雑作に置かれた休憩所がある。

眼下には封墳(盛り土をした墓)の共同墓地が広がっている。いわば、亡き者たちの村なのだが、怖いどころか、慶州でよく見る中小規模の陵(古墳)を前にしたときのような安らぎを感じる。