コスパで選ぶ投資信託の注意点
実はこのシャープレシオ、少し注意も必要です。
1.同じ土俵のファンド同士での比較に使います
株式と債券ではリスクとリターンの傾向が異なるように、ファンドも投資対象によってその傾向が異なります。つまりシャープレシオも投資対象によって数値の傾向が異なります。よって、投資対象が同じファンド同士で比べる必要があります。
つまり先ほどの化粧品の例でいうと、「保湿クリーム」と「美容液」は比較できません。
同じ「保湿クリーム」という土俵の上で成分や自分にとっての効果(リターン)を見ながら値段(リスク)を比較する必要があります。
2.期間は直近だけでなく、長期3年、5年も参考に
1年の成績だけでは、為替相場や株価市場、その他大きな動きによる影響も大きいので、ファンドの本当の実力を表しているとは限りません。よって3年、5年の数値も参考にするのが望ましいでしょう。
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話題のものという理由で自分にとっても効果があると言い切れますでしょうか。
3.数値が良くても投資目的に合っているかをしっかり検討する
シャープレシオが1以上の優良なファンドであっても、リスクが大きいファンドが苦手な人はリスクの低いファンドを優先して探すことも必要です。またリターンが高いファンドを望むのであれば、リターンを優先しつつ、シャープレシオも確認するといった使い方がよいでしょう。
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リターンがすごいし、コスパもいい。
でもそれだけで買いますか。そもそも自分の目的にあっているものでなければ意味がないですよね。
もしも毎日よく寝ているから、目の下のクマより目尻のシワが気になっていたら、コスパが良くても買いませんよね。
コスパがよくても、自分の目的や性質に合っていないものを買うのは本末転倒ですし、投資だとしたらストレスがたまります。
シャープレシオはあくまで過去の成績ですので将来も同じような結果になるとは限りません、ただ、ファンド選びに際にはとても参考になる指標です。
今回は化粧品を例にしてシャープレシオの説明をしましたが、投資とは化粧品の様に、効果測定や成分など商品の中身も違うので、ざっくりしたイメージとして持っていただければと思います。
化粧品だと身近に感じることができても、投資となるとハードルが高く感じてしまうところもあるかもしれませんが、まずはやってみてその中で色んなことを学んでいくと、ファンド選びも楽しくなります。
投資を始めようとお考えの方は、一つの指標としてぜひシャープレシオにも注目してみてください。
【執筆者プロフィール】平野りさ
キッズ・マネー・ステーション認定講師/1級ファイナンシャルプランナー/1級DCプランナー
金融機関勤務を経て、現在は子供向け金融教育に携わっています。お金のことを知ることは、自分で決めた人生を送れる力をつけること。このことを信念に活動しています。