大都市に仕掛けられたのは“騒音反応型爆弾”。仕掛けたのは高IQ爆弾魔、対するは元海軍副長。人質は釜山市民。
隠された悲しい過去を背景に連続爆弾テロ事件を描く映画『デシベル』は、あらゆる音が脅威になる特異性、臨場感あふれる爆破シーン、スリリングなアクションが繰り広げられる。
さらにキム・レウォン、イ・ジョンソク、チャウヌ(ASTRO)といった実力派や人気俳優がそろうキャストにも注目だ。どのようにストーリーが制作され、撮影が進んだのか。本作を手がけたファン・イノ監督にインタビューした。
ファン・イノ監督が明かす!映画『デシベル』の撮影秘話
『デシベル』は主人公が英雄になっていく過程を描く作品ではない
――『デシベル』はいつ頃から構想されていましたか。2011年の映画『恋は命がけ』で監督デビューされ、2014年には映画『その怪物』、この前作から9年ぶりの今作となりますね。
私は二作目の映画を作った後、9年という時間を経てこの作品を撮りましたが、この作品だけに取りかかっていたのではなく、ほかにも4作品ほどお話があったものの実現にいたりませんでした。
そういうふうにして過ごしているうちに、爆弾テロをモチーフにした作品を作らないかと制作会社の代表から提案があり、では「一般的な爆弾テロ作品ではなく、これまでとは違ったアプローチをしたらどうか」と逆に提案をしたんです。そこで思いついたのが、音に反応する爆弾。その次に、ストーリーを作り上げていきました。
――テロの標的となる元海軍副長カン・ドヨン役をキム・レウォンさんが演じ、スタント無しでのアクションシーンにも挑まれたそうですが、まずレウォンさんを主役に抜擢された理由からお聞かせください。
『デシベル』はひとりの男性が英雄になっていく過程を描く映画ではなく、英雄として輝いていた人物がだんだん墜落していく過程を見せる作品です。となると、主演の俳優さんにも深みが必要に。
ただ単にかっこよく悪党をやっつけるということではなく、本当に人間の奥深さを演じられる俳優ということで、第一候補としてキム・レウォンさんをあげて、受けていただきました。レウォンさんは意志が強く、このキャラクターをやると決めると、自分をどんどん追い込みながら演じてくれて。
最初はスタントマンがやる予定だったアクションも、「自分でやる」と言ってくれました。あとになるにつれて撮影では疲れていくものなので、できればスタントマンにもお願いしたいと思っていたんですが、彼自身とても運動神経がいいので、こちらも「信じて任せよう」となりました。そうして彼が演じてくれたおかげで、作品を完成させることができました。