次々に衝撃的な出来事が起こり、回を追うごとに緊張感が増すばかりのミステリードラマ『完璧な家族』。不穏なストーリーと実力派のキャストと並び、日本から行定勲監督が参加したことが大きな注目を集めた。

今作で初めて韓国ドラマを手掛けた監督に、ドラマについて伺ったさまざまなお話を2回に分けてお届けする。

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  • 『完璧な家族』© Victory Contents Co., Ltd
  • 行定勲監督
  • キム・ビョンチョル(左)、ユン・セア(右)『完璧な家族』© Victory Contents Co., Ltd
  • パク・ジュヒョン(左)、チェ・イェビン(右)『完璧な家族』© Victory Contents Co., Ltd
  • イ・シウ『完璧な家族』© Victory Contents Co., Ltd

『完璧な家族』ストーリー

裕福な家の一人娘ソニは成績優秀な高校生。同級生のギョンホから思いを寄せられているが、幼なじみのヒョヌを交えた3人であくまで友人として接していた。そんなある日、転校生のスヨンが養護施設時代の友人で、しかも自分のせいでつらい人生を送ってきたと聞かされてソニはショックを受ける。間もなく、ギョンホの家で彼がソニをかばい、スヨンに刺されるという事件が発生。その夜に起きた火事でギョンホ一家が全員死亡したと知って疑心暗鬼に陥るソニを、さらなる不穏な出来事が待ち受けていた……。

行定勲監督が韓国ドラマを演出

ーー日本人の映画監督が韓国ドラマを演出するにあたって。

まず原作漫画には、よくある韓国ドラマの展開を皮肉っていたりする描写も出てきますが、それは置いておいて、知られざる家族の過去が浮き彫りになっていくっていうシンプルな物語は韓国ドラマの真骨頂だと感じました。

それは、ずっと日本映画で、日本人の心情と情緒みたいなものを大切にやってきた自分の創るものとは一致しないわけです。それでも、今回演出を引き受けるにあたって、そうしたものとは全く違うものをやってみるのも面白かもしれないな、と思ったのは正直なところです。

自分が2、30年間で培ってきた演出やドラマツルギーの捉え方みたいなものを、韓国ドラマに対する違和感として反映させたら今までとはテイストの違うものになるのではとも考えました。もちろん放送局と制作会社の方々もプライドがあるし、ファイナルカットの権利も向こうが持っていますから、結果としてはいわゆる“韓国ドラマ風”になった部分もあるでしょう。

とはいえ、演出は僕がしているので、そのあたりはうまく融合できていたらいいなという気持ちはありますね。

監督が語るキャストの魅力 前編

ーー両親役のキム・ビョンチョル&ユン・セアについて。

キム・ビョンチョルさんは非常に真面目な方ですね。慎重ですし、現場を引っ張っていくとかっていう方ではないんですよ。ものすごく寡黙で、ほとんどしゃべらないんです。本当のところ、最初は全然僕のイメージとは違っていたんです。

『この人じゃないな』と思っていたところ、話をするうちに『いやいや、この人に演じてもらったほうが面白いかもしれない』って考え直させられました。真面目さからは想像できないようなエキセントリックな表現なんかはとても印象的で良かったですね。

ユン・セアさんはお会いしてすぐに『あ、いいな』と思いました。彼女はすごく快活というかアクティブな人で、とても大らかでオープンハートな部分が役柄とは真逆だけれど、うまく母親像として生きていると感じさせられましたね。

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