日本アンガーマネジメント協会代表・安藤俊介さん

ささいなことで子どもを怒ってしまい、罪悪感を抱く親も少なくない。

「罪悪感は後悔となり、しばらくの間は、子どもに対する怒りを抑え込むようになります。発散できないイライラが募るなか、再び子どもが同じ失敗をおかすと怒りが爆発。以前よりも激しく怒ってしまい、親はさらに深い罪悪感にかられるといった負のスパイラルに陥ることがあります」

あれだけ注意したのに、また同じことを繰り返すなんて!! この子には何を言っても無理!! レストランでジュースをこぼした子どもに激怒している親をまれに見かけるが、彼ら自身、コントロールできない怒りの感情に苦しんでいるのかもしれない。

 

子育ての理想にしばられていませんか?

アンガーマネジメントファシリテーターの篠 真希さん

自らの育児に科す「○○すべき」が多ければ多いほど、怒りの感情は生まれやすくなるとは、アンガーマネジメントファシリテーターの篠 真希さん。

(アンガーマネジメントファシリテーター:日本アンガーマネジメント協会が認定した「怒りの感情の専門家」。協会主催のアンガーマネジメント講座で講師を務めたり、自分で行うセミナー・研修にアンガーマネジメントを取り入れている)

篠さんは子育て向けのアンガーマネジメント講座を数多く手掛け、お母さんの悩みに耳を傾けてきた。

「早寝早起きを守り、食事は三食きちんと食べさせ、勉強も外遊びも存分にさせるなど、子育ての理想が高いのはいいけれど、それにしばられると融通がきかなくなり、怒る機会はどうしても増えます。

たとえば、子どもの就寝時間に父親が帰宅したため、子どもの寝る時間が遅くなって母親が怒るというケースはよくありますよね。けれど、就寝時間を厳守するのと父子でコミュニケーションをとるのと、どちらが重要かと考えたら、じつは怒る必要はなかったのかもしれません。カッとせずに、いったん立ち止まって家族にとっていちばんいい解決策を考えましょう」
 

育児にしつけは必要だが、怒らずに済むケースも多いという。

「親は何に対して怒るべきなのか、優先順位をつけてみましょう。最優先は子どもに危険が及ぶ場合。道路への飛び出しなどはしっかり怒る必要があります。けれど、それ以外は子どもに教えるだけで済むかもしれません。

しつけや生活習慣は少しずつ覚えていくもの。すぐに全部できないからとイライラをぶつけると、子どものプレッシャーになります。怒りの感情は連鎖しますから、親子間が険悪になることも出てきます」

こうしたとき親自身が、自分の怒りの傾向を知ることが「アンガ―マネジメント」の大きな手助けとなる。同協会では「怒りのタイプ診断」の体験版を無料でリリースしている。体験版では、コアビリーフ(自分が絶対だと信じている価値観)を四字熟語で表現して診断。

後に子育てにフィーチャーした診断結果を紹介するので、体験版にトライしたあと、ぜひ参考にしてほしい。