3.まず弁護士に相談することが重要。

岩沙弁護士によれば、「『うちの会社おかしいな』と思ったら、まずは法律の専門家である弁護士に相談してほしい。」とのこと。労働法に関する知識がないまま闘いを挑みはじめるよりも、弁護士から適切なアドバイスなどを受けた”後”から動き出す方が、解決までの道筋はかなり短くなるということだ。
 

 

4.退職勧奨された場合、同意したら終わりと思え。

辞めてもらいたい従業員を企業が辞めさせる手法として、労働者を部屋に呼び退職勧奨をして、退職同意書に無理やりサインさせる事例が後を絶たない。労働者は、怖い部屋から一瞬でも早く逃れたいという気持ちで安易にサインしてしまう。

しかし退職の事実を争う場合、退職同意書の存在は、労働者に対して非常に不利な材料になるという。岩沙弁護士は「ともかく退職同意書には絶対サインしないことを貫くことです。サインしたら、終わりだと思っても良いくらいです。」とのことだ。
 

5.労基署も味方になってくれない悲しい現実。

よく労働問題は労働基準監督署(労基署)だ!労基署は労働者の味方だ!と信じている人も多いと思うがが、岩沙弁護士によれば、「労基署が労働者にとって実は不利なアドバイスをしている事例もあります。労基署の仕事は違法行為を是正すること、労働者の利益を最大限に勝ち取ることが仕事ではないのです。」…どうやらドラマの世界はあくまでドラマらしい。

いかがだっただろうか。弁護士に聞く、ブラック企業対処法。ブラック企業と、たった一人で闘うのはリスクが高いこと。悩んだらまず弁護士に相談するというのは、非常に有効な手段であることが、十分理解できた取材だった。
 

弁護士(第二東京弁護士会所属)
岩沙好幸(いわさ・よしゆき)
慶應義塾大学経済学部卒業後、首都大学東京法科大学院から都内法律事務所を経て、アディーレ法律事務所へ入所。司法修習第63期。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物が好きで、最近フクロウを飼い始めた。労働トラブルを解説した書籍『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)が発売中。岩沙ブログ『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。アディーレ法律事務所

 

 

人事コンサルタント。大学を卒業後、医療系人材派遣会社(人事)・広告代理店(人事)勤務を経て、密着型人事コンサルティング団体「人事総合研究所」を設立。代表兼主任研究員として、労務相談受付・課題解決に取り組む。得意分野は採用・法務・労務・人事全般の問題解決等、多岐にわたる。