想像と違った友人の対応

「Aさんにその案を伝えたとき、真っ先に断られましたね。

Aの性格からして、自分の恋愛に友達の私を巻き込むのは気が引けるだろうことは、予想していました。

だから、『かけなくていいからね』ってAが繰り返すのを『まあ任せてよ』って返したのが、いけなかったと思います……」

麻美子さんにとっては「Aに気を使わせない」ために暗黙の了解を付けた形でした。

当日、麻美子さんは聞いていた飲み会の開始時間を一時間ほど過ぎたあたりでAさんのスマートフォンに電話をします。

ところが、1回目ではAさんは出ず、その後も3回ほどかけ続けてやっとAさんとつながります。

「どう?うまくいっている?」

と尋ねる麻美子さんに、Aさんは少しの沈黙の後で、

「今ちょうど彼と話しているところだから」と言って「ごめん、切るね」と通話を終了しました。

「肩透かしをくったようで、正直ちょっと腹が立ちましたね。こっちは助けてあげたくて、協力するつもりでかけたのですが」

と、麻美子さんはそのときのAさんにわずかな怒りを覚えたそうです。

麻美子さんは、Aさんのことだから電話をしたら「どうすればいい?」とSOSを求めてくるに違いないと思っていて、想像とは違う対応に驚きも感じていました。

その日はAさんから電話がかけ直されることはなく、どうなったのか気を揉む麻美子さんはAさんに対して不信感を覚えたまま、数日が過ぎました。