「未練」とは違う、今の女性との比較
「元カノのほうがよかったと思いますか?」と単刀直入に尋ねると、男性は顔を上げて
「それはないです。
その元カノとは向こうが別の男を好きになったって理由で別れていて、最後はあっさりしていました。
告白したときを思い出しただけで、未練はないですね」
ときっぱりとした口調で答えました。
その言葉に嘘はないのだろうと思ったのは、男性の口にすることが今の好きな人についてで、意識を向けているのは現在なのだとわかるからです。
「今の女性のことは好きだとはっきり思うし、彼女になってほしいし、たぶん向こうも俺からの告白を待っていると思います。
でも、当然のようにOKしてその場は終わるのだろうなと想像したら、肩透かしというか物足りなさを感じるかもしれなくて……。
こんなのは初めてで、俺もどうしていいかわからないです」
元カノと今の女性を比べてしまうのは、その「告白したときの状況」が男性にとっては強烈な幸せを感じるものだったからで、今の女性は同じにはならないとわかるから。
好きな気持ちを伝えるのはいつだって相当に勇気のいることで、その反動の「肩透かし」によって好意が萎える可能性を、男性は想像したのではないかと感じました。
「元カノのほうがよかったとか、思いたくないのですよね」と言うと、男性はすぐに「そうです」とうなずきます。
客観的に見れば、「すでにOKが想像できる告白」自体が幸せなことであり、相手の態度に“いちゃもん”をつけるような気持ちは傲慢ともいえます。
それでも男性が誰かに打ち明けてでもこの葛藤を解決したいのは、やはり今の好きな人との関係を進めたいからです。