相手によって「変わってもいい幸せ」
「その女性と、楽しいお付き合いが想像できますか?」と質問すると、男性は少し考えてから
「そうですね、話が合うし何時間も一緒にいられるし、もっとお互いのことを知っていきたいです」
と男性は答えました。
その前向きさがあるから告白を考えるのであって、
「それなら、告白の場面にこだわらず、これからのふたりについてもっと考えみてみたらどうでしょうか」
と言うと、
「あ、こだわっていたのか……」
と、男性は自分の心の状態に気が付きました。
好きだと言いたいけれど「期待値」が下がるのが怖くてできない、その葛藤は、自分の事情でしかありません。
告白は一大事だからこそ満足を求めるのは当たり前で、でもその満足に「相手しだい」を入れてしまうと、苦しむのは自分です。
しかも、その女性の態度はあくまでも男性側の想像でしかなく、実際はどうなるのかは、「言ってみないとわからない」のが現実です。
肝心なのはその女性とどうなりたいか、「自分はどうありたいのか」であって、一つの場面にこだわって先に進めないことのほうが、男性にとってはマイナスなはず。
恋愛に向ける「期待値」を告白の場面から「恋人として過ごす自分たち」に変えてみると、未知のその世界を充実させることにもっと意識が向きます。
本当に女性のことが好きで恋人になりたいと思うのであれば、告白は通過点と割り切ってしまうのが自分のため。
この男性の場合、元カノのことを思い出すのはこの告白の場面が中心で、そのほかの一緒にいる時間ではまっすぐに今の好きな人に焦点を合わせているのが会話で伝わりました。
それなら、告白を受け入れてもらった後の自分たちの変化を想像する余裕も、心にあるのではないでしょうか。
「好きなのに告白を留まってしまう」「元カノと比べてしまう」というのが男性の悩みでしたが、葛藤の正体は、恋愛への期待値の高さによるこだわりでした。
それを別の方向に向ける姿勢は、恋人同士となってからも自分の愛情を育てる強さになると思っています。
*
元恋人を思い出すのが未練によるものではなく、限定された場面で生まれた強い感情が記憶を呼び起こすのは、誰にでもあるのかもしれません。
問題はそれによって今の好きな人との関係が止まってしまうことで、満足にこだわると最終的に好意そのものを失う結果になりかねません。
自分が抱える「期待値」を上手に動かしていく意識は、何よりも今の恋愛を楽しむ姿勢に欠かせないものなのですね。