空回りする思い

最初の頃に比べて、明らかに男性から遠ざけられている自分を自覚しても、藍さんは「ホテルにさえ行ければ」とどこかで考えていたそうです。

もともとそれがメインで今の関係になっているわけで、お互いにそう簡単に手放すことはないだろうと、相性の良さなどを話し合えたことを思い出します。

会えないときは寂しくて、「お仕事、がんばってね」「ゆっくり休んでね」など、少しでもやり取りができることを、求めていました。

「ひどいときは、コンビニで使える500円のチケットなんかプレゼントしていました」

ため息をついてそう振り返る藍さんは、自分が尽くす側になっている現実を見て、「悲しいけど、どうしても好きになってほしくて」と、男性から会える日を提案されたらほかの用事はすべてキャンセルしてでも時間を作っていたといいます。

でも、彼のほうから積極的に関わろうとする様子は依然として見えず、そのショックを引きずりながら、「もう嫌いになったのならはっきり言ってね」と、病んだようなメッセージを送ってしまったそうです。

「そのときは、すぐに『そんなことはないよ』と返ってきて、ほっとしました。

でも、それ以上がないんですよね、私のことが好きだとか会いたいとかはなくて、やっぱり私だけなんだろうなと、心の隅っこでは思っていました」

それでも藍さんが彼を諦めることができなかったのは、やはりカラダが目当てであることをお互いに納得して始めた関係で、「そのために会う」という前提があったから。

それを抜いた男女のつながりであれば、男性のほうはおそらくもっと早くに自分を「切って」いたのではないかと、今は思っているそうです。