決定的な言葉

その彼との関係が終わったのは、初めて待ち合わせをして会ってから半年後のことでした。

「『藍ちゃんは彼氏は作らないの』ってLINEで言われて、思い切って『あなたがなってよ』と返したんですね、冗談っぽくでしたが。

そうしたら、『俺は彼女とかいらないから無理』とすぐ返事が来て。

あ、これが最終通告だと思いました」

これまでの藍さんを見てきて「彼氏は作らないの」と質問してくること自体、男性側にその気はなかったのだろうなと感じます。

自分への好意を出してくる女性に対して、恋心があれば、自分がその立場になる流れが生まれるはずです。

もしかしたら、自分を求められる可能性をあらかじめ考えてこの質問をして、きっぱりと断る流れにしたかったのかもしれない、とまで筆者は勘ぐりました。

「彼女とかいらないから無理」と返せば、それ以降藍さんは身動きが取れなくなることは、容易に想像ができたはず。

「もう駄目なんだな、と一気に落ち込みましたね。

一生懸命やってきたけど、あっちは何も変える気はないんだなって、すごく虚しくなって」

こうなってやっと、藍さんのなかに諦める気持ちが生まれ、それ以来男性とは会っていません。

「私が連絡をしなくなったら彼のほうからもまったく来なくなって、ああやっぱりこんなものだったのか、と思いました。

結局、本当にカラダだけの関係でしかなかったんですよね……」

たくさん泣きました、と笑顔で口にする藍さんですが、おかしな未練や執着を抱えることなく男性と縁が切れたのは、やはり自分を大切にする強さがあるからだと、感じました。