元彼の「変化」

元彼となった男性は、いま仲良くしている女性とどんな状態にあるかは、舞子さんには伝えてこなかったそうです。

ただ、「仕事の相談みたいなメッセージが届いたとき、そういうのって今の女性には言えないのかと、疑問に思いましたね」と、なぜ話す相手に自分を選ぶのか、舞子さんは不思議に思っていました。

それでも、前と変わらず冷静に言葉を選んで励ましの言葉を送っていたという舞子さん。

自分よりその女性のほうが好きだから別れたのであって、それなのに好きな仕事の話もせず元カノとなった自分に「大きな商談をまとめた」など報告してくる元彼には、また変化が見えてきます。

「別れてから二ヶ月くらいはLINEでやり取りするだけで電話もしなかったのですが、ある夜に『話したい』とメッセージが飛んできて、びっくりしました。

いいよと返したら電話がかかってきて、そのときに今の女性とうまくいっていないことを打ち明けられました」

「別れた女性に対してそれって、失礼じゃないですかね」と思わず口にすると、

「私もそう思いました。

でも、彼にとって自分はまだそれだけ近いんだ、甘えられる存在なのだと思ったら、そのときは全力で受け止める気持ちしかなかったですね……」

と、未練が勝ったといいます。

男性には、今の女性とは交際には至っていないこと、自分の好意をわかっていていつまでも中途半端な関係を引っ張られていることなど、スムーズに進まない葛藤があったそうです。

「今も記憶にあるのは、『仕事のことでちょっと愚痴を吐いたら聞きたくないってばっさり返されて、でも彼女の話は何でも聞かないと不機嫌になる』という彼の言葉で、ああ都合よく扱われているなあと、少しだけ溜飲が下がる思いがしましたね」

舞子さんの印象では、「付き合っている彼女と別れてまで自分を選んだ男性を、気持ちに応えるのではなくその熱意を楽しんでいるだけ」なのが、その女性でした。

聞いていると、舞子さんとその女性の明らかな違いは「相手をするのを自分の都合に合わせている」ことで、その窮屈さに、男性は苦しんでいたのではないかと感じました。

男性が舞子さんにそのストレスを打ち明けるのは、舞子さんのほうが「まっすぐ自分を受け止めてくれるから」という信頼を向けていることが、

「こんな話をしてごめん。でも、舞子に聞いてほしくて」

という男性の言葉で伝わります。