「戻る側」の心境
結局、男性はその半月後に、舞子さんに「よりを戻してほしい」と頭を下げます。
週末のランチに誘われて三ヶ月ぶりに顔を合わせたときのことで、男性は浮気をしたこと、舞子さんの愛情をないがしろにしたことを、何度も謝罪したそうです。
「正直、こうなるかもなって予想はあって、戻ってきてくれたことは素直にうれしかったです。
別れた元カノに頭を下げるって、本当にそう思っていなかったらできないと思うし……」
三ヶ月前に別れたときも、男性は今と同じく「ごめん」と舞子さんに頭を垂れて謝っています。
筋を通す自分を見せられる相手が舞子さんなのだと、感じました。
浮気相手と上手くいかなくなり、すぐに元カノと復縁を求める男性は確かにいます。
そのなかには、単純に「自分を好きでいてくれる女性を手放したくない」と己の都合しか考えない人、別の異性に目を向けて改めて元カノの素晴らしさが理解できた人など、事情はさまざまあります。
重要なのは、ほかの人に関心を向けた自分から逃げず、そのうえで元恋人に今の気持ちを誠意を持って伝えられるかどうかです。
「友達からは、また『都合がいいじゃないの』と言われました。
でも、私のことが今も好きだと言って、その女性とも今後は関わらないとはっきり口にした彼の姿は、信じたいと思いました」
と、復縁を求めた元彼の気持ちを、やはり受け入れることを決めます。
舞子さんは、別れた後も自分を無理に変えず、そのときの気持ちに従って元彼と向き合っていたことが、最後は信頼と愛情を男性が再確認する大きな要因となったと感じます。
浮気はどんな言い訳があっても「する側」に非があり、それを男性のほうは正しく自覚して謝罪していることも、改めてお付き合いするうえで大切な姿勢です。
「変わらない」という選択は、未練があれば実際は相当に苦しいもの。
それを貫ける強さは自分を大事にしたいからだと、笑顔で今の順調な交際を話してくれる舞子さんの笑顔を見つめて思いました。
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浮気した元恋人と別れた後も連絡を取り合うのは、いつまでも未練が捨てられず前に進めない原因にもなります。
それでも、無理に遠ざけたり逆に深い関わりを持とうとしたり、気持ちに振り回されると結局は後味の悪い終わりになるものです。
そうではなく、自分を信じる強さが、最後は元恋人の気持ちを取り戻すのではないでしょうか。