離婚後も変わらない元夫の人間性に…

「実家には月に一度は遊びに行っていたので、子どもたちは一緒に暮らすことに大きな抵抗はありませんでした。ただ、『お父さんはもういないの?』と長男がたまに泣き出すのが私もつらくて、あんな人間でもこの子たちにとっては父親なのかと、面会交流は大事にしたいと思いましたね」

離婚届を出してから、元夫とは面会交流についてのみ、LINEでやり取りをしていると話す由美子さんは、子どもたちの気持ちを考えてあれこれと制限をつけることはしなかったといいます。

「おかしなことをすれば面会交流がストップされるのは元夫も理解しているはずで、私がおらず子どもたちだけなら、大事にしてくれるだろうと思っていました」最初は特に問題はなく過ぎますが、三ヶ月目あたりから次男が「行きたくない」と言い出します。

驚いた由美子さんが話を聞くと、「元夫は、子どもたちに私の悪口をたくさん吹き込んでいました。お前の母親は最低だ、お前たちも俺のようにいつか捨てられるんだぞって、脅しのように言ったそうです。

次男が怯えてもう帰りたいと言っても、『捨てられる前に俺と暮らす方が幸せだ』って、聞いてくれなかったと落ち込んでいました」離婚した後まで子どもたちを巻き込んで私を攻撃するのかと、由美子さんはすぐ元夫に電話します。

すると「事実だろう。父親がいないと何もできないくせに、偉そうなことを言うな」と、離婚前と全く変わらない口調で返されたといいます。

「電話だと私と一対一だから、強気に出ますよね。これで余計に腹が立って、面会交流はもう終わると言ったら今度は『訴えるぞ』と言い出して。養育費を払っているのだから会う権利がある、と言っていました」

結局、私を困らせて溜飲を下げたいのだと思った由美子さんは、両親と相談して自分たちから面会交流調停を申し立てることも、考えたそうです。

「子どもたちが行きたがらないから今月は面会しないと伝えたら、電話を代われと言うので断りました。すると、誘拐で訴えるぞって、また始まって。正直、もう怖かったですね、普通じゃないと」

何も変わらない元夫への対応

このまま面会交流を取りやめたら何をするかわからないと思った由美子さんは、両親と話し合って条件の変更を考えます。

「宿泊をやめて、一日だけにしたいと元夫に父が伝えました。スマホをスピーカーにして一緒に聞いていましたが、しばらく無言の後で『勝手に決めないでほしい』と声が聞こえて、ぞっとしましたね。

父が『子どもを大事にしないのはそっちだから、仕方ないだろう』と返したら、『子どもたちが母親に洗脳されている』とか言い出して、このときにもう駄目だと思いました」

一番怖いのは子どもたちに危害を加えられることで、自分への復讐のために子どもたちが怖い思いをするのだけは、避けたかった由美子さん。

「それで、面会交流調停を申し立てました。不成立になる可能性が高いだろうなとも思ったのですが、自分より強い人間には弱い元夫の人間性を考えて、裁判所なら頭を冷やすだろうとも、考えました」

面会交流調停では、裁判所が用意した調査官が子どもたちに聞き取りをすることもあると知り、心の傷にならないか不安だったそうです。

「それでも、自分たちを守るためにはやるしかないんですよね。離婚したときに公正証書を作っておいて正解だと思いました」

養育費を盾に面会交流を強要する元夫には、裁判所のような第三者がいる場所で話し合うのが正解だと、由美子さんは思っていました。