元夫のあっけない変化
元夫には黙って調停の申し立てを行った由美子さんは、裁判所からの通知が届いた頃に元夫から着信があったとき、父親に出てもらいます。
「これはどういうことだって最初からキレていて、父が『訴えると娘に言ったのはそっちだろう』と返したら黙りました。『裁判所ならお互いに冷静に話せるから』と言っても返事がなくて、結局ろくに会話がないまま、そのときの通話は終わりましたね」
調停を申し立てのを理由に面会交流はストップし、父親に会わなくていいとわかった子どもたちはほっとしている様子だったといいます。
この顛末は、調停の一回目の期日で自分の発言を渋々ながら認め、「月に一回、八時から五時まで」と由美子さんが出した提案も元夫は受け入れて終わりました。
「面会交流は子どもの権利で、養育費を払っているから自分は会って当然ではないと、元夫は調停委員の人に言われたようです。子どもに脅すようなことを言うのも言語道断で、権威に弱い夫には相当にこたえただろうと思います」
元夫のあっけない「変化」は、強気に出ればそれに応じてこんな対策を取ってくる由美子さんたちを目の当たりにして、自分が置かれた現実を知ったからでは、と感じます。
離婚後も元配偶者に執着し、結婚していた頃のように悪意を向けてくる人は実際にいますが、特に子どもがいる場合はこんなトラブルもあるため、早めに手を打つのが肝心です。
「私の場合は、元夫に何を言われようと父がいてくれたので助かりましたが、頼れる人の存在は本当に大切だと実感しています」
元配偶者へのモラルハラスメントをやめられない人間の場合、由美子さんのケースのように第三者を挟む、公的な機関を頼ることも、自分を守る選択肢。今は子どもたちから不安になるような報告はなく、月に一度の面会交流を何とか続けられている由美子さんですが、「それでも、相手がこんな人間だからやっぱり油断はできないですよね」と、両親とともに周囲を警戒することも、忘れてはいないそうです。
離婚したからといって完全な他人の距離感が取れない場合は、日々の生活を侵害されない方法を、日頃から知っておくことも重要です。
自分の人生を胸を張って歩く権利は等しくあり、元配偶者であっても支配を向けることは許されません。それを忘れず、自分の身は自分で守る意識を、忘れたくないですね。
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自分の身勝手な思いを我が子にぶつけるような元配偶者を、信用することはできませんよね。
それでも面会交流を続ける場合は、注意深く状況を観察し、すぐに動けるよう情報を集めておきましょう。
ひとりで戦うのではなく、正しく頼れる道を知っておくことも、家族を守る大切な知識といえます。