友人からの「報告」で

三つ年上の彼氏と知り合ったのは通っていた市が運営するプールで、よく顔を合わせるうちに話すようになり、距離を縮めていったといいます。

「私の友達も一緒に来たときは、気を使ってくれながら三人で楽しく会話ができたのは覚えています」

スポーツジムより気軽に通える市営のプールには、その友人とはタイミングが合えば何度か一緒に来ていました。

彼氏と別れてからはさすがに足を向けるのが嫌になり、友人に事情を話したら「それは無理だよね」と理解してくれて、それからはこの友人はひとりで通っていたそうです。

その友人から、あるとき電話がかかってきます。

「出てみたら、元彼に話しかけられたって話でした」

わざわざ友人が美智恵さんに伝えようと思ったのは、

「最初は挨拶を交わすだけだったのに、突然『別れちゃいました』って言い出したらしく、友達は『何て返したらいいか困った』と言っていました。

そうですよね、友達のプライベートなことだし、何でそれを自分に言うのか、かなり警戒したらしいです」

その場は適当に答えて切り抜けたと話すその友人に、「巻き込んでごめん」となぜか美智恵さんは謝ってしまい、元彼「らしくない」言動に少し恐怖を感じたそう。

自分からそう仲良くもない女性に話しかける元彼の姿などなかなか想像できなくて、「もしかして友達を狙っているのかも」とも考えます。

その友人には彼氏がいて仲が順調であることを知っていた美智恵さんは、元彼が何を考えて近付いたのか、

「別れたのにまだこんな話を聞くなんて、うんざりしましたね……」

と、ストレスを感じていました。

友達にまで広がるストレス

元彼が美智恵さんの友人に声をかけるのはその後も続き、「てっきり、美智恵に未練があってその情報がほしいのかもと思った」と、友人は話していたそうです。

ところがそんな話は一向に出ず、

「付き合うのは大変だったとか、プレゼントを喜んでくれなかったとか、愚痴みたいなことを言うときがあったそうです。

友達は黙って聞くだけだったようで、『元カノの友達に悪口を言うなんて、悪いけど最低だと思った』と、怒っていました」

と、元彼の様子について「別れて正解よ」と言います。

相手にしなければ話しかけることもしなくなるだろうと、その友達はそれ以降声をかけられてもすぐ離れるようになります。

「一度、自分には彼氏がいることもそれとなく伝えたそうです。

でもそれはあっさりスルーされて、『今も自分は美智恵に嫌われているって、本当に自分のことしか言わないのね』と、友達もため息をついていました」

私もプールに行くのやめようかな、と口にしていた友人は、それからは週に一度通っていたのを月に数回に変えます。

何で自分の友達がこんな目にあうのか、元彼の幼稚な精神に腹を立てながら、

「でも、別れた私が今さら元彼に『友達に近づかないで』なんて、言えないじゃないですか。

それこそ元彼の思うツボかもしれないと思って、『あなたのせいじゃないよ』と言ってくれる友達には本当に申し訳なかったです……」

と、何もできないことに歯がゆさを覚えるばかりだったといいます。