男を喰う女:「後藤美雪」

8月23日公開 映画「喰女-クイメ-」 ©2014「喰女-クイメ-」製作委員会

ラストは、8月23日に全国公開される、市川海老蔵と柴咲コウがタッグを組んだ映画「喰女-クイメ-」の原作『誰にもあげない』(山岸きくみ/幻冬舎文庫)という小説をご紹介します。

世界中のホラーファンから支持される鬼才・三池崇史監督がジャパニーズホラーの原点「四谷怪談」に挑んだ映画「喰女-クイメ-」ですが、まず皆さん、「四谷怪談」はご存知ですか?

「四谷怪談」は様々なバリエーションが存在しますが、基本的なストーリーは「浪人・民谷(たみや)伊右衛門の女房「お岩」が、夫に裏切られ、顔の崩れる薬を飲まされ憤死。亡霊となって復讐を果たす……」というものです。要するに、男に捨てられ殺された女が、幽霊となって復讐するお話です。

『誰にもあげない』という小説も、「四谷怪談」とリンクするところがあり、舞台「真四谷怪談」で主役に抜擢された俳優の「長谷川浩介」が、恋人の有名女優「後藤美雪」を利用し尽くし、用が済んだら浮気を繰り返し、美幸が嫉妬や疑心を募らせる様子が描かれています。

女の一途な愛が怨念に変わる瞬間、男は一体どうなってしまうのでしょうか……!?愛と嫉妬が渦巻く、血みどろの恋愛ミステリです。

恋人が浮気しても、平気なフリや知らないフリをする女性って、たぶん多いと思うのですが、実際は、心はいつでも不安でたまらなくて、時に怒りで爆発しそうになることってありますよね……。嫉妬や疑心を募らせ続けた美雪の復讐は、一体どんなものなのでしょうか? 

真似はできないけど、気持ちは痛いほどわかる……戦慄が走る衝撃のラストにご注目下さい!

 

以上、いかがでしたか? この世で一番怖いのは、実は「女」かもしれません。
しかしその怖さのベースになっているものに目を向けると、女性は誰でも、そしていつでも、「怖い女」になりうる要素を秘めていることに、今回気が付きました。

不満・嫉妬・欲望・疑心……これらは上手く使うと、女性が大きく飛躍する一助にもなりますが、女性の皆様、くれぐれもやりすぎには注意してくださいね! 

良かったらこの夏、「ホラー」も良いですが「怖い女」の小説も是非読んでみて下さい。

 

※参考『東野圭吾 全小説ガイドブック』(洋泉社MOOK)2011年

 京都府在住の26歳。三度の飯より本が好きで、またそのレビューを書くことを何よりも愛している。毒のある本やミステリーが好き。主に「読書」の分野で記事を書いています。いつでもアワアワしているフリーランスのライターです。 Blog