名古屋のあちこちに点在するという、焼き鳥に取りつかれた人々の聖地。味はもちろん、情緒もあれば、新しい息吹もある。そんな焼き鳥の名店探訪記。

 

後世に残すべき焼き鳥文化遺産『角屋』(名古屋・大須観音)

もしも、世界遺産に焼き鳥部門があったなら――大須にある『角屋』を推薦したい。何故なら角屋は、後世に伝えるべき“普遍的価値”を持った店だからだ。

価値その一は、創業より65年たった今も、さほど姿を変えていないところ。風情ある屋台のような古びた建物から、もくもくと煙があがる様は、「これぞ焼き鳥屋」といった佇まいだ。

価値その二は、価格。串焼きは、なんとすべて1本110円。今の時代にあり得ない値段だ。しかも味のほうは折り紙付き。

価値その三はシステム。焼き場へオーダーを通すのに拡声器を使い、タバコの灰は床に捨ててよい。さらに会計は昔ながらのおはじきの数で計算する仕組み。
以上の推薦理由に、異論を唱える者はいないだろう。

 

角屋(名古屋・大須観音)
創業は昭和24年。名古屋の焼き鳥文化を支えてきた草分け的存在。古くからの根強いファンが多く、中には親子三代で通ってくる常連客もいるとか。

 

備長炭でじっくりと焼き上がるネギマ。焼き場が三代目となる、間瀬崇文さんの担当。
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とある金曜日の開店直後の店内の様子。いつもは満席の同店で最も狙いめの時間。
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赤ちょうちんも、どことなく郷愁を感じさせてくれる。
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二代目店主の間瀬政之さん(左)と妻の紀代美さん。そろそろ三代目への世代交代を考えているとのこと。
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長年煙を吸い続け、すっかりすすけてしまった暖簾。年季の入った店構えは、えも言われぬ味を醸し出している。
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住所:名古屋市中区大須2-32-15
営業:火~土17:00~21:30、日16:00~21:00
休業:月
予算:1500円~
予約:不可
喫煙:可
駐車場:なし
アクセス:地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅8番出口より徒歩4分