「キャラクターを演じる声優」が歌うアニソンの存在感

2006年7月より発売された「涼宮ハルヒの憂鬱 キャラクターソング」シリーズもヒットし、キャラクターを演じる声優が歌うアニソンの存在感はますます大きくなる。

同シリーズで注目したいのは「Vol.2 長門有希」で茅原実里が歌った『雪、無音、窓辺にて。』。畑亜貴作詞、田代智一作曲、上松範康編曲によるこの曲が茅原の音楽性に与えた影響は大きく、茅原のアーティストとしての新生の嚆矢となった『純白サンクチュアリィ』にはこの楽曲の影響が色濃く感じられる。

茅原がアーティストとして大きく飛躍し、今やアニソン界を代表するアーティストのひとりとなったことは、アニサマの歴史と同期する部分も大きい。
 

「二次元アイドル・作品発ユニット」とアニサマの出会い

2008年、アニサマは会場を現在のさいたまスーパーアリーナに移し、名実ともに日本最大のアニソンの祭典となった。そこに出演したのが「中村繪里子・今井麻美・たかはし智秋・下田麻美 from THE IDOLM@STER」だった。

アイマスといえばアーケードゲーム、そして家庭用ゲームとして登場したタイトルだが、当時の『アイドルマスター』はニコニコ動画で盛り上がりを見せていた。

今でこそ横浜アリーナやさいたまスーパーアリーナを単独ライブで埋める怪物コンテンツに成長したアイマスだが、当時のアイマスにとっては万人クラスの大会場は未知の世界。

「会場の歓声が大きすぎてセンターステージでは出演者が音を全く取れない」といった課題が数多くあったことから、翌2009年の参戦からはイヤーモニターを着用。アニサマで得たノウハウを元に、アイマス本体のライブもまた大会場に対応した本格的なライブとして進化していった。

同時期、前項で語った平野綾や茅原実里も、アニソンアーティストとしての地歩を固め、個人名義でアニサマに出演している。このあたりを境に、アニサマは「これからブレイクしようとしているコンテンツ」のトライアウトの場としても機能し始める。

何しろ「アニソンを愛する2万人前後の観客」の前で生のパフォーマンスを見せる場など、アニサマの他には存在しない。初登場で魅力を見せつけたユニットが、より大きな実績を引っさげてアニサマに帰ってくるケースが生まれ始めたのだ。『アイドルマスター』もまた、2011年のTVアニメ化という出来事を経て、今やアニサマでもアーティストとして大きな存在感を放っている。