今年で10回目を迎える『Animelo Summer Live』。アニサマの歴史は、そのままここ10年のアニソンの歴史でもある。アニサマの10年を振り返りながら、アニメとアニメソングを取り巻く変化を考えていきたい。
 

すべてが始まった2005年のアニサマの出演アーティストを見てみると、奥井雅美、影山ヒロノブ、JAM Project、水樹奈々、高橋直純、栗林みな実、米倉千尋、石田燿子、can/goo、下川みくに、unicorn table、鈴木達央、近江知永、愛内里菜と錚々たる顔ぶれのアニソンアーティストが並ぶ。水樹奈々、高橋直純、鈴木達央、近江知永など声優の名前もあるが、「アーティストとしての顔も持つ声優」が個人名義で出演していた色合いが強い。

アニサマの2006年の出演者リストを見ると、「スペシャルゲスト:平野綾、茅原実里、後藤邑子」とある。2006年にこの3人と言えば、もちろん『涼宮ハルヒの憂鬱』のヒロイン3人。今では作品発ユニットの参加がごく普通なのに比べると、当時は作品発ユニットの参戦が特別なものだったことがわかる。
 

『涼宮ハルヒ』がもたらした、強大なインパクト

だがアニサマに出演するだけのインパクトが、当時の『涼宮ハルヒ』にはあった。2006年5月に発売されたED『ハレ晴レユカイ』は、同年7月度の日本レコード協会ゴールドディスク認定を受けた。これはこの時点で出荷枚数10万枚を超えたことを意味する。

『涼宮ハルヒ』が残した足跡としては、まずは番組EDを作品のキャラクター3人が担当し、記録的大ヒットを生み出した。そして第12話「ライブアライブ」では、平野綾演じる涼宮ハルヒがバンドのボーカルとして『God knows...』と『Lost my music』を歌唱。

生バンドのライブシーンをハイクオリティで描いた同エピソードはアニメーション制作を担当した京都アニメーションの評価を決定的に高め、その流れは後の『けいおん!』へと続いていく。

『God knows...』と『Lost my music』他を収録した挿入歌シングル『涼宮ハルヒの詰合』もまた瞬く間に出荷10万枚を突破。こちらは売上面での影響も大きいが、今本格的な「声優アーティスト」を目指している少女たちに「カラオケやバンドで歌っていた曲は?」と聴いた時に、『God knows...』もしくは『Lost my music』と返ってくる率は圧倒的に高い。