その脅し文句、怖がらない人には意味がない!
ラストは、子どもから大人まで楽しめる、少しだけシュールな3作をご紹介します。
皆さんは子どもの時、叱られたら、素直に謝ることができるタイプでしたか?
『おしいれのぼうけん』(古田足日・田畑精一/童心社)という絵本に登場する「さくらほいくえん」に通う男の子二人は、謝らない勇敢な(?)タイプです。
ある日「さとし」と「あきら」という男の子は、お昼寝の時間にミニカーを取り合って暴れて、先生に怒られて、押し入れに入れられてしまいます。
先生は押し入れの外で、「ごめんなさい」と二人が謝るのを待っていたのですが、さとしとあきらは、謝らず、暗い押し入れの怖さにも負けず、押し入れから異世界へ、ミニカーを握りしめて冒険に出かけてしまうのです!
園児二人が体験する冒険物語が魅力的なのはもちろんのこと、それ以後、保育園の先生が、子どもを押し入れにいれなくなった……というラストも印象的です。
また、せなけいこさんの「おばけえほん」シリーズである『ひとつめのくに』や『ばけものづかい』(ともに童心社)も、思わずニヤリと笑ってしまうお話です。
『ひとつめのくに』は、見世物師が商売のためにひどい手を使って、「ひとつめこぞう」を探しに行く内容ですが、最終的に見世物師である「ふたつめ(二つ目)」の男の方が、半泣きの顔で困る羽目になってしまいます。
場所が変われば「見世物にされる」立場が逆転してしまう皮肉が見事に描かれています。
また『ばけものづかい』も、ばけものが出ると評判の家に引っ越してきたおじいさんを、ばけものたちがおどかそうと、からかいに来るお話なのですが、ばけものなんか意に介さないおじいさんに逆にこき使われてしまう……という展開が待っています。
ひのたまであろうと、ろくろ首であろうと、全然怖がらない人の前では、何の効力も持たない様子が素敵です(笑)。
いかがでしたか?ブラック&シュールな絵本は、現実の良い面だけでなく、「悪い面」までをも、しっかり描き切っている作品が多いのが、魅力ではないかと思います。
大人でも十分に楽しめる内容の作品も多いので、時にはぜひ「非日常」の世界に足を踏み入れて、ドキッとしてみて下さいね!