スマホ、ゲーム…"子どもにとって悪い食事環境"とは?

まだ「食育」という言葉が社会に存在しなかった頃から、親子の料理教室やイベントなどを通して、地道に食教育活動を続けてこられた松成さん。

子どもの食事環境について、「一概に良い・悪い、と線引きをすることはとても難しい」としながらも、次のような指摘をされました。

「毎日食事をする中で最も大切なのは、『その子のためを思って用意された料理が、お母さんの心を含めて食卓にあるか』、だと思います。悪い食環境、と聞いてまず頭に思い浮かんだのは、お母さんの心が子どもの方を向いていない、『心ここにあらず』の寂しい食卓の風景です」

スマホや携帯に気をとられている、子どもがゲームを手放さない…。家族の心が食事以外の別のもので占められている、という状況は、共に食事をする環境として決して良いとはいえない、と松成さん。忙しい毎日ですが、せめて食事をするほんの数十分の間だけでも、一緒に食卓を囲み、まっすぐに子どもに心を向けることが大切だといいます。

逆に、家族を思う心があれば、手作りの料理にこだわりすぎず、「出来合いのものを加えることがあってもいい」、とも。

「疲れている時に料理するのはつらいでしょう。仕方がないことです。疲れてるんですから(笑) 『子どものことを思いながら、子どものために好きな食べ物を用意した』という気持ちがあれば、買ってきたお惣菜を並べることがあってもいいと思いますよ」

「何を食べるか」、は体にとってもちろん重要なことですが、子どもを思う気持ちをきちんと子どもに届けることこそが、何より家族や自分自身をも大切にする心を育むのかもしれません。食卓はまさに、心と体を育む場所、なのですね。