政府の秘密機関「特殊教育大隊」から逃げ出して普通の家族を装い、世間の目を欺きながら目立たぬよう暮らす5人が、根の深い悪を裁いていく姿を描いた『家族計画』が話題を呼んでいる。
ブレインハッキングという特殊能力を持った母ヨンスに扮したペ・ドゥナをはじめ、ドラマを彩った個性あふれる俳優たちに注目。
ペ・ドゥナが無感情な母親を好演
感情を持たないと言われる母ヨンスは人の記憶を書き換えて、幻覚を事実と思い込ませる特別な能力の持ち主。
「今から注目」と静かに告げてハッキングを行い、返り血を浴びてもまばたき一つしないヨンスを完璧に演じ切りドラマをけん引したペ・ドゥナは、'99年の映画デビュー後、ポン・ジュノ監督の『ほえる犬は噛まない』('00)で頭角を表し、'12年にはハリウッドにも進出。『空気人形』('09)と『ベイビー・ブローカー』('22)では是枝裕和監督と組んだ。
不思議な透明感をたたえた唯一無二の存在感で多くの人々を魅了しながら、さまざまな作品で活躍中。
無表情でも内心では血の繋がらない2人の子どもを心配するヨンスの不器用な母性愛が胸を打つ。
誰よりも愛情深く強い父親を演じたリュ・スンボム
一見普通の人に見えて、実際には最上級の殺傷力を秘めたヨンスの夫チョルヒ。
演じたリュ・スンボムは、前作『ムービング』でも高い戦闘能力と脅威の回復力を持った人間兵器フランクという役を務めていたため、最初は似たようなキャラクターかとも思われた。
しかし、標的を無慈悲に殺すフランクに対し、チョルヒはヨンスや家族を思う愛に満ちた人物だ。
'00年に兄のリュ・スンワン監督作でデビューして以降、数々の映画で演技派として評価されてきた彼にとって父親役は今回が初めてだが、私生活で'20年に父親となったことが助けになったという。
ペ・ドゥナとは今回が初の本格共演というのが意外に思えるほど、息の合った演技を見せている。