子どもが欲しい、子どもを産みたいと思ったら、結婚して子どもをつくる方法しかない――。
私たちの多くはそういう考えにとらわれてきたような気がします。周りの多くがそうしていたし、あらゆるドラマや小説、漫画で描かれる家族もそうだったから。
今は結婚する気はないけど、出産しました
でも、結婚しなくても、出産はできる。「今のところ結婚するつもりはない“非婚”」で出産した櫨畑 敦子(はじはた あつこ)さんは、産みたい気持ちを再優先事項として、結婚せずに出産する道を選びました。
櫨畑さんは、「家」や「血縁での結びつき」にとらわれない、「かぞく」の形をつくろうと、さまざまな実践をする人。最近では「かぞくって、なんだろう?展」という展覧会を主催しました。
7月に初の著書『ふつうの非婚出産 シングルマザー、新しい「かぞく」を生きる』を刊行した櫨畑さんに、非婚出産のリアルについてお話を伺いました。
遺伝子上のお父さんとの関係
2017年9月に第一子となるひかりさんを出産した櫨畑さん。遺伝子上の父親は2016年秋に出会った男性“しょうちゃん”。
大阪に住む櫨畑さんが仕事などで上京する際、月1回ほど会っているといいます。しょうちゃんが東京から大阪に来てくれることも。
「ひかりさんには、ありのままを伝えてあるし、これから先も事実を伝え続ける予定です。ひかりさんとしては『しょうちゃんだ』といった認識だと思います」
現時点で認知はしていません。しょうちゃん側から認知届を出す提案はありましたが、大阪と東京とで離れて暮らしていること、親権や養育費、財産分与の問題も絡むため、断っているといいます。
友人や仲間と共同で子育てするということ
物理的にひとり親。認知もなし。そう聞くと、どんなふうに子育てをしているのか、大変ではないのかと、気になる方も多いと思います。
普段は7時に起きて、ひかりさんと散歩をした後、9時に保育園へ送り届け、17時のお迎えまで2回ほど授乳にいく生活。その隙間に職場へ出向いて、営業や企画と飛び回り、自宅でもWebやデザインの仕事をしています。
櫨畑さんが心がけているのは、子育てをひとりでするのではなく、いろいろな人たちの助けを借りて、「共同保育」のような形の子育てを行うこと。
「いろいろな人が子育てに関われる仕組みをつくろうと思うと、それぞれどうやって関わってもらうか、考えるのが難しいんですよね。そこで、うちでは関わってくれる人の役割を、ごはん大臣や沐浴大臣、掃除大臣、洗濯大臣などに分けて、いくつかの“大臣”職をつくりました。
◯◯大臣として関わってくれている人は10人くらいいます。ごはん大臣が一番多いですね。◯◯大臣という名前は付いていなくても、遠方からときどき来てくれる人も含め、15〜20人くらいはひかりさんの育児に関わってくれています」