鮎美と勝男からわかること
そもそも鮎美は、ハイスペックな男性と結婚して安定した人生を送るために努力し、“モテ”に全ベットしてきたはず。なのに、大手勤務で広いマンションに住む勝男よりも、ワンルームの古いアパートに住むミナトと同棲した。勝男との長年の同棲で溜まったうっぷんは解放され、最初はよかったが、次第にミナトの自由奔放さに苛立つ鮎美。毎日、家で手料理を作って待つタイプの鮎美は、外食が気楽なミナトからすると、こってりと重すぎる女性だ。ミナトは「結婚願望がない」ときちんと理由を伝え、短くても「本気だった」という恋に終止符が打たれることとなった。
鮎美はすぐに家を飛び出て、ミナトと同棲する前に居候させてもらっていた友人の美容師・吉井渚(サーヤ)の家をあてにしていたが、外出中の様子を見かけて、独りでカラオケボックスでやけ酒をくらう。大学時代から勝男の家、別れたら渚の家、その後はミナトの家……と、常にパラサイトするのが当たり前だった鮎美は、物理的事情からとはいえ、やっとここでアパートを見つけて独り立ちする。しかし、同僚に誘われた婚活パーティーでは、自分のことも将来のこともぼんやりしているため、何を聞かれてもしっかりと意思表示できない。
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