理想の結婚相手とは果たして…

夫が先を歩いて妻は三歩下がってついてくる、という図式を昭和的だとすると、お互いに手を取り合って進むのが令和的といえるのかもしれない。実際、昭和的な家庭で育った筆者は自身が台所に立つのが筋だと思っていたが、結婚するまで実家暮らしで家事なんてしたこともない夫が、結婚後に頼みもしないのに台所に立つようになってビックリした。

さらに夫はスーパーに行くと調味料を入念に選んだり、料理に凝ってちょっと料理のうんちくを言いたがったり。「まるで勝男やないか」とツッコミたくなる。当初は困惑したが、話し合ってからはこちらが多忙な時は家事を任せられて、思いのほか楽になった。

昭和でも平成でも令和でも、お互いの価値観をすり合わせることは大事だ。相手を想う気持ちがあれば、自分と違う考えも受け入れられたり、受け入れてもらったり。2人にとって心地いい塩梅が見つかれば、生涯一緒にいるのも悪くない。

令和という時代性はもちろんあるが、“自分にとって大切なこと”を分かち合える相手であれば、手を取って未来を歩いていけるのではないか。

ドラマでは、勝男が作った小籠包を鮎美が食べるシーンがあった。「もしかして出汁から?」と小籠包の深みを味わう鮎美に、食べてほしくて料理を始めたことを告白し、満面の笑顔の勝男。少食のふりをしていたことを話し、勝男の説明を嫌がらずにその通りの味付けで小籠包を食べる鮎美。これまでの自分を卑下する鮎美に、「鮎美はバカでもみじめでもない。俺と一緒にいる時からずっと」と目を見てまっすぐに勝男が気持ちを伝えたシーンは、多くの女性たちの心を鷲掴みにしたに違いない。

すれ違っていた2人だが、料理を通じて「やっぱり相性が良いのでは?」と感じた。“雨降って地固まる”となるのか? 当たり前だと思っていたものを見つめ直し、成長していく鮎美と勝男。何やら勝男の母親も、横暴な夫に思うところがあるようなシーンもあった。次週は、それぞれの両親に別れたことを言い出せずにいるなか、一緒に参列する予定だった地元・大分の友人の結婚式が刻々と近づく様子が描かれる。さらに、鮎美がふと目にした恋愛リアリティーショーに姉・さより(菊池亜希子)が出演していることに衝撃を受ける展開に。

母性あふれる健気な鮎美と、どこか少年のようなピュアさと可愛さのある勝男。これからますます盛り上がっていくストーリーから目が離せない(劇中トレンディドラマも面白い)!

作品情報
『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系 毎週火曜22:00)

出演:夏帆、竹内涼真、中条あやみ、青木柚、前原瑞樹、サーヤ(ラランド)、楽駆、杏花、池津祥子/菅原大吉
原作:谷口菜津子『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(ぶんか社『comicタント』連載)
脚本:安藤奎
演出:伊東祥宏、福田亮介、尾本克宏
プロデューサー:杉田彩佳、丸山いづみ
編成:関川友理
音楽:金子隆博
主題歌:This is LAST「シェイプシフター」(SDR)
制作:TBSスパークル、TBS

大阪生まれ。出版社勤務後、ライター&編集者として独立。エッセイ本『どうしても、結婚したかった。1000人の男性と出会った私の婚活ラプソディー』(発行:東京ニュース通信社/発売:講談社)2024年4月1日発売。音楽、日本・韓国などのドラマやTV・映画といったエンタメから恋愛・婚活・育児など女性向けジャンルを手がける。公式サイト