「おっさんのイメージ改善」を行いたい

「おっさんてさ、すぐ説教するし、イヤなんだけど。見た目もマジでキモいし」
「絶対話しかけんな!って感じだよね~」

これは、ある日の電車の中で、西本さんが聞いた女子高生たちの言葉。この言葉が耳から離れず、実際に講師を務める大学・専門学校でおっさんのイメージを聞いたところ、あまりよろしくない答えが、わんさか飛び出たようです。

「僕はここで思いついたのです。イメージの悪いおっさんでも、自分のために働いてくれるとなったら、少しは見直してもらえるんじゃないか――。要は『おっさんのいいところ、見せたろ!』という見栄が、『おっさんレンタル』のそもそもの始まりだったのです」(同書より)

全国のおっさんを代表してイメージ改善を行おう。そう思い、西本さんは動き出したのです。

では、一体どのような利用方法があるのでしょうか。運用前は「便利屋」のように使われるのではないかと考えていた西本さん。引っ越しや掃除といった力仕事関係の依頼を準備していました。しかし、実際のところは、そういった力仕事の比率は少ない様子。
 

「おっさんレンタル」の意外な用途とは

実際には何が多いかというと、意外にも「相談ごと」なのです。依頼内容を振り返った時、老若男女問わず「話を聞いてほしい」というものが多いとのこと。確かにいい大人に引っ越しなど力作業を頼むには恐縮しますよね。それと同時に、皆、誰にも言えない(言いたくない)話を抱えていたりするのです。

「おっさんレンタル」に興味津々でまるで取材のように話を聞きに来た青年、釣り堀で「父」にある報告をした青年、アイドル志望の女子中学生、医者になるかどうかを悩む女子大生、イケメンでも恋愛に自信を持てない学生……、西本さんは、そういった相談ごとに耳を傾け、時には熱く檄を飛ばし、相談者の支えとなっていきました。