2話で魅せた柳楽優弥、キレッキレの芝居
続く第2話「土方禁煙篇」は、全面禁煙となった世界を舞台に、それでもタバコを吸いたい真選組副長・土方十四郎がタバコを求めて宇宙を旅するキャグ満載のエピソード。
前半はタバコを本当に美味しそうに吸ったり、タバコが吸えない怒りを爆発させるように電柱に頭をぶつけて血まみれになったり、トイレで吸ってスプリンクラーの水でビショビショになったり、喫煙場所をようやく見つけて千鳥足で近づく土方役の柳楽優弥の顔芸に爆笑!
柳楽自身も「電柱に頭を打ちつけた後に喫煙所を見つけて、妙な歩き方をしながらそこに向かうシーンは特に思いっきり演じているので、ぜひ見て欲しいです」と言っているように、劇場版の『銀魂2 掟は破るためにこそある』でも土方とその別人格“トッシー”を演じ分けて笑いを誘った彼が、ここでもリミッターを外したキレッキレの芝居でコミックの笑いを生身で視覚化することに成功しているのだ。
しかも後半では、その笑いを脱力系のテイストに変えて、原作でも攻めまくっていた「ドラゴン〇―ル」のパロディにも果敢にチャレンジ。
原作には登場しない、山本美月が演じる“銀河鉄道999”のメーテルや矢本悠馬が扮した鉄郎とのユル~いやりとりにもニンマリしちゃうし、メーテルが鉄郎に土方のことを「何でも2回言う人なのよ」「立ち上がってもすく座る人なのよ」と説明するどうでもいいセリフの数々や、鉄郎の「そろそろ鳥山(明)先生や松本(零士)先生に怒られるぞ!」というお決まりの自虐気味のセリフには思わず吹き出してしまう。
そんな原作同様にギャグで押しまくるこの第2話だが、それだけではない。
柳楽も「メーテルが土方のことを“つちかたさん”と呼ぶところがあるのですが、そういった、みんなが一度は思ったことのあるようなことを、さらっとセリフにしてしまうから福田さんはスゴい」と絶賛する福田ワールドのエッセンスも細かく散りばめられていて、独自の面白さを作り上げている。
最終話「歯医者はイヤ篇」では嬉しいオマケも
そして最終話の第3話「いくつになっても歯医者はイヤ篇」では、そんな土方が我らが銀ちゃんと遂に激突! 虫歯になった銀時が大嫌いな歯医者の待合室で“俺を一気に殺してくれ!”“さっさととどめをさしてくれ!”などと頭の中でジタバタしていると、そこに同じく虫歯の土方がやってくるのだけど、前半は強がって、ヘンな男の意地の張り合いをしている彼らの表面上の芝居と本当は怖くてビクビクしているふたりの心の中のツッコミ合いやそのギャップに大笑い。
柳楽も「小栗さんの“今回の(歯医者の)ドリルはどこまで俺の中にえぐり込めるかな? 俺の魂まで届くかな?”というすごくカッコつけたセリフと、僕の“人はなぜ穴を掘り進むのか? そこにドリルがあるからさ”というセリフの後にふたりの本音がナレーションで入るんですけど、そのナレーションがすごく活きていていいですね。ポーカーフェイスでコサックダンスをしていたりもするし(笑)」と振り返る。
だが、それはあくまでもプロローグで、そこから空知先生が39度ぐらいの熱がある中で描いたと言われる、常人では思いつかないヤバいレベルにまで達した“とんでもなくハチャメチャで、傍から見ると笑える治療”のエピソードに突入していくのだ。
銀時と土方の命にも関わるその治療の全貌は観た時の衝撃が薄れるので(原作ファンは知ってるだろうけど……)、その詳細には触れないが、福田作品常連女優の上地春奈や作家でタレントやAV監督でもある岩井志麻子が参加した治療シーンは柳楽も「深夜3時にあのエネルギー、最高でしたね。ここは見どころです」と語るほど、ぶっ飛んだ笑いが連続する。
しかも、このエピソードでは、アニメ版の『銀魂』で“まるでダメなオッさん”、略して“マダオ”の愛称で親しまれている原作の人気キャラクター・長谷川泰三の声優を務めている立木文彦が“マダオ”役で出演しているという嬉しいオマケも。
立木自身「アニメの声を当てている人が、実写で同じ役を演じるというのは初めてじゃないかな。もし初めてだったらギネスに載っけてもらいたいけど(笑)、現場で第一声を発したときにスタッフの方々や演者さんたちが“本物だ!”とか“うわ~!”と言って感動してくれたのが嬉しかった」と語っている。
そんな彼が最後に「ドラマ版の台本を最初に見たときに笑いが止まらなくて。新しいことづくめなんです。これはスゴいなって思いましたね。だから、ドラマ版は確実に観た方がいいです。
小栗さん、柳楽さん、橋本さんのぶっ飛び方も凄まじいし、絶対観た方がいいです。観ないと半分以上損をします(笑)。それぐらい面白かった」と太鼓判を押した本作は、文字通り、『銀魂』の面白さを高濃度で詰め込んだ超絶エンタテインメント。
『銀魂2 掟は破るためにある』と一緒にこっちも観なきゃ、実写版の『銀魂』は語れない!!