“袋入りパン”が売られているのは、実は日本だけ!
ジョコビッチ選手はグルテンに過敏性があった。だが、私たちはどうなのだろう?
スーパーやコンビニなど街のいたるところで“袋入り”で売られているパン。日本で流通しているような“ふわふわ”と伸びがよい、“日持ちする”パンを作るためには、グルテンを多く含む「強力粉」を使う必要がある。
日本での強力粉の自給率は1%程度。そのため輸入に頼るしかない。日本のパンの原料となっている小麦は、ほとんどがアメリカやカナダからの輸入品なのだ。
「フランスでパンといえば『バゲット』で、強力粉は使いません。日持ちしないので、パンを買いに、街のパン屋さんに足を運ぶわけです。
パンがビニール袋に入って売られているのは、日本だけです。
日本ではこれ(袋入りの食パン)が普通のパンだと思っていますよね? 学校給食でも袋入りで配られますからね。でもこれ、もともとが『強力粉』を使わないと作れないものなんです。100%、輸入小麦を使わないと作れない仕組みに、最初からなっていたわけです」
あなたのイメージする小麦は、“本当の小麦”?
いくつか、小麦の穂の写真を見せていただいた。広々とした畑の中で、ゆらゆらと穂をなびかせながら大きく育つ…。小麦にはそんなイメージがある。しかし、1960年から1980年までの間に行われた度重なる品種改良によって、小麦はその姿・形を大きく変えた。
「現在作られている小麦のほとんどがこれです」。
白澤先生がそう言って指し示した小麦は、1960年代に作られていた小麦と比べ、背丈は半分以下。大量の化学肥料や農薬を使わないと育つことができない。
『小麦は食べるな!』(Dr.ウイリアム・デイビス著)によれば、現代の小麦は、収穫量を増やし、病気や日照りなど環境への抵抗力をつけるために、“異種交配”や“遺伝子情報の大幅な変更”が繰り返され、高い生産性をもつ矮性小麦へと変わった。現在、世界で作られている小麦の99%が、こうした矮性小麦や半矮性小麦だという。
グルテンの含有量が少ない昔の小麦では、“ふわふわ”した食感のパンやパンケーキは作れない。品種改良によってグルテンの量が増えたからこそ、より“ふわふわ”な食感になる。つまり私たちは、昔とは性質の違う、「体が受け入れる準備が整っていない」小麦を食べているらしい。