問題は「パン」だけではない!

“小麦を断つだけ”で、慢性疲労、自己免疫疾患、アレルギー、関節炎、偏頭痛、じんましん、心臓疾患、といった多くの原因不明の病気が治ることがある。つまりそれだけ、小麦がいろいろな病気の引き金になっているということだ。アメリカでは、小麦をやめてお米を食べる人が増えてきているという。

しかし、パンをほかの穀物に変えればいい、という問題ではないと、白澤先生は指摘する。

「パンをやめて、うどんを食べていたら意味ないですし、グルテンフリーにすればいい、というわけではないんですよね」

炭水化物(糖質)が多くの現代病の原因になっている。したがって、なるべく健康でいたい人はまず、糖質の摂取量を減らさなければならない。糖質を摂ることで“糖化反応”が加速し、体のあらゆる組織を酸化させる。“健康にいい”イメージのある全粒粉のパンも、グラノーラも、ブランのシリアルも、その本体は糖質であることに変わりはない。血糖の急上昇を招き、体にダメージを与える。

「グルテンフリーが健康にいい、というわけではないんです。全粒粉のパンが健康にいい、と勘違いしてたくさん食べた結果がこうなっている(糖尿病などが増えている)のです。肝心な部分を理解していないと、グルテンフリーを食べて病気が増えた、という話がおそらく何十年か後にまた繰り返されるでしょう」

世間では、ある特定の“機能性”だけに着目した食品や情報があふれているが…。

「体にいいものを摂り入れれば『毒』がなくなるかというと、そうではない。何かを足せばいい、混ぜればいい、という発想は間違っています。いくらブロッコリーを食べても、いくら白米に雑穀を混ぜても『毒』は相殺されない。『毒』は取り除かなければ意味がないのです」

“低糖質”をアピールした食品を目にする機会も多くなった。もちろん、それで健康になれるというわけではない。重要なのは、食生活全体のバランスだ。ただ、その“食生活のバランス”にもまた、問題がある。「コレステロールは体に悪い」という誤解が、あまりにも世間一般に浸透しているからだ。

なぜ、コレステロールに関して、こうした認識が広まってしまったのだろう? その背景にある“いろいろな事情”についても、私たちは知っておいた方が良いだろう。

続:「コレステロールは体に悪い」は嘘だった!? 白澤卓二先生に聞いた、危険な食べ物の“本当の話”(ウレぴあ総研)

 

 

ライター/女子栄養大学 食生活指導士1級。学生時代からさまざまな体調不良に悩まされたこともあり、健康的な生活習慣について学び始める。現在は専門家を中心に取材活動を行い、おもに食、健康、美容、子育てをテーマにした記事を発信。乗りもの好きな1男の母でもある。

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