誰もが、グルテンで脳に“炎症”を起こしている
小麦グルテンによって小腸が損傷する「セリアック病」という病気がある。これはごく少数の人がかかる小麦に反応する自己免疫性疾患だ。
しかし、「セリアック病」でないからといって安心できる訳ではない。この病気でなくとも、グルテンを適正に処理できない過敏症である可能性があるという。
「小学校の頃から炭水化物ばかり食べさせられてきて、グルテンに対するアレルギー検査も受けていない。それにコレステロールの多い食事も摂っていないでしょう? 条件的には、日本人はほぼ、腸管に穴が開いているとしても不思議ではありません。ほとんど日本人全員にあてはまるのはないでしょうか、彼(デイビッド・パールマター)が言っていることは」
つまり私たちの誰もがグルテンに過敏であり、「脳」にグルテンの影響を受けている可能性が極めて高い、ということなのだ。
さらに、グルテン以外の「糖質」、「炎症を促進する食べ物」、「環境有害物質」などが組み合わさることで、脳への影響が加速する…と著者は指摘する。
「1日の糖質は60g以下に、と彼は言っています。そうしないと脳に炎症が起きてきます。『キヌレリン』という毒が発生して、脳を犯すんです」
今まで小麦を食べてきた量によって、その影響に差は生まれるのだろうか?
「彼は『(小麦以外も含む)炭水化物の影響は蓄積される』と言っています。人生において、炭水化物を食べれば食べるほど脳が燃えている時間が長くなり、脳の中の空洞が大きくなる、と断言しています。濃厚に食べていればそれだけ、たとえ生きている時間が短いとしても、『脳が空っぽになる』と」
ふわっふわの美味しい「パン」が、心の病の原因に
実際に「小麦を断つ」、ただそれだけのことで、うつ病や統合失調症、注意欠如・多動性障害(ADHD)、自閉症、記憶・認知障害などの精神や行動にかかわる病が治った、という多くの例が存在する。
グルテンにはまた、強い依存性がある。グルテンが胃で分解されると、アヘンに似た作用を持つ「エクソルフィン」という物質に変わる。それが脳の“関門”をするりと突破し、脳内に入り込む。すると「おいしい!」「最高!」という恍惚感を生み、依存性を引き起こす。
「パンを食べて『ふわっ』とした快楽が脳に走るのは、血糖が上がったからではなくて、エクソルフィンが脳まで行き、『アヘン受容体』と結合したからなんです。つまり、神経回路が行動を制御している、ということです」
精神の病を引き起こす“だけでなく”、脳などの神経系組織を破壊し、しかも依存性がある。それが多くの食品に含まれているとなれば、問題が大きいのではないか?
小学生は給食でパンを食べている。集中力を保てない、疲れやすい、キレやすい、アレルギーの増加…。ちょうど1980年代頃から指摘され始めた子どもたちのこうした変化も、小麦がひとつの要因となっているのだろうか?
「まず、すべき事は『パン』を食べないこと。給食でも、みんなで『パン』を食べなければいい、ボイコットすればいいんです。牛乳も本当はやめるべきなのです」