高齢出産は母子ともにリスクが高いといわれていますが、高齢出産とは、一体何歳からなのでしょうか? また、リスクばかりが取りざたされている高齢出産ですが、最近では科学的に証明されたメリットもあることが報告されています。

今回は、高齢初産に挑戦しよう、あるいは今後迎えようとしている女性たちに向けて、あまり知られていないメリットを重点的にご紹介しましょう。

高齢出産って何歳から?&その基準はどこから?

「高齢出産」は、昔から広く使われている言葉ですが、産婦人科学会編の『産婦人科用語集・用語解説集(改定新版)』(20003年)には、「高齢出産」という項目は存在せず、「高年初産婦(こうねんういざん)」という言葉があるのみだということをご存知ですか?

一方、国会図書館に所蔵される一般的な出産の手引書には「高齢出産」という言葉が溢れています。これらの多くの手引書は、その出版年に応じた妊婦の不安のリアリティな情報が詰まっていますので、医師会においてもその情報を重要視しています。

この一般図書にある「高齢出産」という言葉が世に広まり、一般化したわけですが、その定義は日本産婦人科学会「高年初産」の定義を応用して、35歳以上の全てのお産(初産、2人目以降のお産の両方を含む)という意味で用いられています。

高齢出産の年齢は、初めから35歳だったわけではありません。時代背景と医療の進歩に則して変化してきました。1980年代までは、世の中の「高齢出産」の常識は30歳以上でした。日本産婦人科学会でも、高年初産が35歳としたのは1991年以降で、1990年以前の資料では、そのほとんどが30歳以上とされていたのです。

つまり、「高齢出産」の定義は、医学上・統計上生まれたものなのです。高年初産の妊婦たちが抱える妊娠・出産と同じリスクを、2人目以降の妊産婦も抱える可能性が高いので、高年で妊娠した全ての妊婦の出産に対して、「高齢出産」と呼ばれるようになりました(但し、初産の高齢出産は35歳以上ですが、2人目以降の高齢出産は、40歳以上だという説が有効です)。

このように時代背景とともに高齢出産の年齢が上がってきたわけですが、女性の卵巣や子宮の状態が時代とともに若くなったわけではありません。高齢出産の常識が30歳以上だった昔も、高齢出産の常識が35歳になった現代においても、35歳よりも30歳、つまり若い方が妊娠リスクが少ないというのが現状です。