カウンセリングとの違い

――話を聴く、というとカウンセリングのようなものかな、と思われる方も多いかもしれませんね。

高「“カウンセリングならいいです、悩んでいないんで”と言う人はいますね。ただ相談窓口ではないので、悩んでいなくてもかけてもらって大丈夫です。好きな漫画のことでもなんでもいいですし(笑)」

――逆にカウンセリングを期待して、駆け込み寺のようにかけてくる人もいるのではないでしょうか。

高「カウンセリングを期待しているかどうかはわかりませんが、深刻な悩みを持った状態で来られる方はいます」

――そういう方は、バーッといきなり話し出すような感じですか?

高「そういう方もいらっしゃいますし、途切れ途切れに話されて、何回目かでやっと悩みの全容が言えるような人もいます」

――時間をかけて話を聴いてもらうことで、その人の中で言葉にできなかった気持ちが言葉になっていったのかもしれませんね。

高「悩みや大変な状況も含めて、利用者の方に起きていることはすべて ”財産” だと思っています。傷つきや苦しみの先に進んでいける人だと思って、話を聴くんです。

リスナーは寄り添うことしかできないんですね。なにかをしてあげたいと思った瞬間、アドバイスを言った瞬間に、対等さは失われます」

――その根底には、どんなに悩んでいても、最終的には話し手がちゃんと自分で解決の糸口を見つけられる、という信頼があるからなのですね。

今日はありがとうございました。

リスママの「聴き方」を伝えていくミッション

リスニングママ・プロジェクト代表の足立さとみさんと代表リスナー弘中明子さん、代表講師高橋ライチさん(左から)

リスニングママ・プロジェクトが発足してからの5年間、聴いたお話の数は500を超え、現在の利用者の半数はリピーターなのだとか。

2018年9月からNPO法人となり、当初は「ママによるママのための対等な当事者エンパワメント活動」であったものが、最近では実績を生かし、教育関係者や子育て支援従事者などの分野にも「聴き方」を伝える活動が広がってきているそうです。

今後は、「ママのための対等な」に加えて「ママからスタートした、教育・支援・地域などあらゆるジャンルに応用できる『聴く』ことによるエンパワメント活動」を広げていきたい、と団体代表の足立さとみさんは言います。

「リスニングママへの要望のなかには、“子どもの話を聞いてほしい”というものもあるのですが、子どもにとってみたら、ママに話を聞いてもらいたいんですよね。

ですが、多くのママは忙しかったり、心の余裕がなかったりで、なかなか子どもの話を聴けないことも多いもの。だから、ママが子どもの話を聞けるように、まずママの話を聞いて、心の重荷を取ってもらおう、というのが私たちの願いです。

ママがちゃんと話を聴いてくれたら、子どもにとってはすごくうれしいことだし、妻がニコニコして、すっきりした顔をしていれば、夫もうれしいはず。実際にリスナーの家庭って、すごく円満な人が多いんですよ」

代表リスナーの弘中さんに、普段の生活も含めて、人の話を聴く上でいちばん大切にしていることをお聞きすると、次のような答えが返ってきました。

「その人が話していることを、丸ごと聴くことでしょうか。自分の意見や口を挟まないで、その人が話し終えるまで聴くということは常にやっています。そのために、普段のママ友との会話で口を挟むタイミングを逃すことはあります。言葉をかぶせて話せない(笑)」

インタビュー中、弘中さんの発言がほとんどなかったのは、このためだったのですね。

リスナーは、利用者の話を聴くのに苦痛を感じることはないといいます。もし苦痛を感じることがあれば、それは自分が話を聞いてもらっていない証拠だとわかるので、そういう時は、他のリスナーに聞いてもらうそうです。

リスママが大事にしている「共感」と「対等」は、人とのコミュニケーションで大事にしたくても、なかなか実現が難しいと感じることだと思います。

ですが、リスママの【おはなしDAY】では、たとえそれが20分と短い時間ではあっても、それが実現されているのではないかと思いました。

そこで束の間、ホッとできたり、自分を取り戻すことができれば、日常に少し余裕が生まれるのではないでしょうか。

興味のある方は、ぜひリスニングママ・プロジェクトのホームページを訪れてみてくださいね。

【取材協力】リスニングママ・プロジェクト