かき氷の魅力は、作る人の性格が出るところ
――かき氷は大好きだと思うんですが、アイスクリームなどはいかがですか?
かき氷娘さん:アイスクリームに浮気はないですね。かき氷自体が好きなんですよ。氷と何かを組み合わせる工夫とか、そういうのが好きなのかなと。氷は一緒なのに、削り方が違うと別物になるというところもおもしろいなと思って。
原田さん:かき氷はご主人の性格がすごく出ると思うんですよ。サプライズ好きのご主人だったら、氷の中に何か入っていたりして、食べ進むと出てくるとか。横に別のソースを付けておいて、途中からかけるとまったく違う世界になったりとか。
かき氷娘さん:アイスクリームって、一気に大量に作るものだと思うんですけど、かき氷はひとつ作るのに、ソースを入れて、氷をかけて、間に何か入れて、また氷をかけて、シロップをかけて。ひとつ作るのにすごい時間がかかるんです。そして、食べればすぐに消えてしまう。置いておいても溶けてしまう。そういうところもおもしろいなと思っています。
――原田さんはかき氷にこだわりはあるんですか?
原田さん:特にないですね。カラー氷も好きですよ。最近、台湾のアイスモンスターが流行っていますが、僕はかき氷のカテゴリーには入れていません。氷を削ったものに細工をしたものじゃないとというこだわりはあります。
かき氷娘さん:かき氷は日本発祥の食べ物なんですよね。
原田さん:水が安全な国はあまりありませんからね。
――最近のかき氷は、天然氷や純氷を使っているものが多くなっています。天然氷や純氷を使っていると、頭がキンキンしないものなんですか?
原田さん:そうこうことではないんです。氷の密度の問題ですね。昔のかき氷は、氷95%、空気5%という感じでしたが、今のかき氷は、氷60%、空気40%なんです。空気が多い分、頭にキーンと来ないんですよ。
かき氷娘さん:氷の種類とかは関係ないみたいですよ。都市伝説です(笑)。
かき氷を美しくいただくコツとは?
――せっかくなので、かき氷をいただきましょう。ふわっとしたかき氷を食べると、どうしてもこぼれてしまうんですが、どうしたらいいんでしょうね。
かき氷娘さん:かき氷は、下からすくって最後にシロップを載せる感じで食べるといいですよ。上からスプーンをかぶせるとこぼれちゃいます。
――おお、なるほど! 確かに下からすくうときれいに食べられますね! 勉強になりました。
原田さん:僕は専用スプーンを作ってもらったんですよ。
かき氷娘さん:これは食べやすそうですね。
原田さん:きれいだから使ってみてください。
かき氷娘さん:いいんですか? あ、すごい食べやすいですね。
原田さん:この平らな部分が重要なんですよ。あと、すくう部分が大きいのもポイントです。
かき氷娘さん:これ売ってないんですか?
原田さん:これは知り合いに作ってもらったんですよ、3500円で(笑)。今のところ、3本しかないんですよね。
――それは残念ですね。すごい食べやすそうなスプーンなのに。最後になるんですが、今かき氷が盛り上がっている街はどのあたりでしょうか。
かき氷娘さん:名古屋がおいしいですね。
原田さん:和菓子文化があるからか、独自のかき氷が多い印象です。
かき氷娘さん:私は奈良に行ったことがないんですよ。
原田さん:奈良の氷室神社のあたりは、暑いし鹿が多いしで(笑)、あまり夏は観光客が来ないようで。そこで、夏にも人が来てもらえるようにと、町おこし的な意味でかき氷に力を入れているようです。
かき氷娘さん:東京都内で食べ歩きをしたいというのであれば、下北沢ですかね。最近かき氷のお店が6軒ほど集まっているので、効率よく回れます。
――なるほど。本日はどうもありがとうございました。
『にっぽん氷の図鑑』片手に全国かき氷の旅に出よう!
ということで、雪うさぎさんでかき氷をいただきながら、ゴーラーのお二人にお話を伺いました。
お二人とも、かき氷への愛がすごく強いという印象。かき氷の話になると止まらないといった感じでした。
原田泉さんが、35日かけて全国のかき氷店を回って執筆した『にっぽん氷の図鑑 かき氷ジャーニー』は、ゴーラーたちのバイブル。1日20杯のかき氷を食べた日もあるという、原田さんのかき氷愛が詰まった一冊です。
「お店で食べる空気を伝えることを一番に考えました。味や中身に何が入っているということは、あえて一切触れていません。実際食べて感じてくださいという感じで、かき氷へのきっかけになる本になったらいいなと思っています」(原田さん)
今回は、雪うさぎさんで5種類のかき氷をいただきましたが、どのかき氷もとても美味! そして見た目もきれいで、かき氷がこんな楽しいものだということに初めて気付きました。なお、かき氷メニューは毎日変わります。ご紹介したかき氷がない場合もございますので、ご注意を。
これからは、ゴーラーのみなさんを見習って、あちこちかき氷を食べに出かけたいと思います。みなさんも『にっぽん氷の図鑑 かき氷ジャーニー』を片手に、お近くのかき氷店を訪ねてみてはいかがですか?