3) キャラの行動や表情に注目! それぞれの役割に応じて表現されている
ガタガタ震えているビビリや、イカリの頭から出る炎など、それぞれのキャラクターが個性豊かに感情表現するのも『インサイド・ヘッド』の楽しいところです。
樋口先生によると、映画に登場する感情たちの表現方法は、心理学の研究とも一致するとのこと。
例えば、ヨロコビがよくジャンプしたり手をたたいたりするのは、喜びを共有するために、人を呼び集める行動なのだそうです。
一方、ビビリが「わ~!!!」とよく叫ぶのは、周りに危険を知らせるため。
そしてカナシミは無気力な動きで神経の活動を抑え、喪失によるダメージを最小限に抑えようとしているのだそうです。
行動の特徴に加え、もっと細かい点までこだわりたい方は、ぜひキャラクター達の顔の表情にも注目してみてください。
人は恐怖を感じると、緊張から目を大きく見開くことが心理学的に立証されているそうです。確かにビビリはよく目を見開いていますね。
ムカムカは、目や口を閉じ気味にした表情で、毒素や病原菌が体内に入らないようにしています。
同じように、目が細くなるイカリの表情には、自分の攻撃準備が相手に伝わらないようにする目的があります。
そのためイカリは、ヨロコビやビビリに比べて、目を細めるシーンが多いようです。
心理学の研究を踏まえた、各キャラクターの細やかな動きや表情にも注目ですね。
いかがでしたか?
『インサイド・ヘッド』を楽しむポイントが、心理学の知識とともにお分かりいただけたでしょうか?
『インサイド・ヘッド』は誰もが持っている感情がテーマだからこそ、世代や性別を問わずみんなが楽しめる映画です!
この記事を参考に、映画館でじっくり感情の世界にひたってみてくださいね。
解説:樋口匡貴(感情心理学者、上智大学総合人間科学部心理学科准教授)