従来日本茶を飲もうと思うと、甘味処の暖簾をくぐる機会が多かった。
ところが、近年、日本茶専門店が開業するなど、日本茶に熱い視線がそそがれている。

そんななか、日本茶を使ったスイーツを供する店が2月、表参道にリ・オープンした。茶農園・カネ十農園のティーサロン「カネ十農園 表参道」である。

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カネ十農園は、1888年に静岡県牧之原市に創業した茶農園。
日本屈指の茶処・牧之原で茶葉を栽培しつつ、その茶葉をお茶に加工している。

茶農園ならではのフレーバーティーは、パッケージもおしゃれ

茶農園だからこそ、珍しいお茶も用意している。
茶畑で収穫した茶葉を時間をかけて丁寧に蒸し上げた煎茶に、桜の花と葉を乾燥させたものをブレンドしたフレーバーティー「桜煎茶」(950円)である。

ほのかな桜の香りが鼻孔をくすぐり、一服すると、ひと足早く口のなかに春が訪れる。この季節、日本人が飲むにふさわしいお茶といえるであろう。

「桜煎茶」のようなフレーバーティーを得意とするだけに、オリジナルのフレーバーティーをその場で作ってくれる。

3種類の茶葉(煎茶、ローカフェイン緑茶、焙じ茶)から1種類を選ぶ。フレンドしたいフレーバー素材を約20種類(シナモン、生姜、バジルなど)のなかから最大3種類を配合してもらえる。

ティスティングを何度かくりかえし、好みのブレンドがきまったらパッキング。もちろんリピートも可能だ。

春には春の、夏には夏の、四季折々のフレーバーティーを家庭で楽しめる。
80グラム(袋)/1620円、100グラム(缶)/2268円

特筆すべきは、パッケージである。

お茶の袋は、茶系や緑色を用いたものが主流だ。ところが、カネ十農園は従来なかったデザインを採用。

白を基調とした、スタイリッシュで、お茶のイメージをくつがえすパッケージを取り入れている。もちろんお茶はテイクアウトもできる。

お茶のプロに聞く「おいしいお茶の淹れ方」

買って帰ったお茶をより美味しく飲むにはどう淹れるべきなのか。カネ十農園の加藤大地(だいじ)さんに尋ねた。

日本茶を淹れるお湯の温度は、何度ぐらいがいいのか。

「難しい質問ですね。というのも最近は水出しや氷出しも流行っていますからね」

「一概にはいえない」と前置きをした上で、教えてくれた。

沸かしたばかりの熱湯ではなく、若干冷ましたお湯で淹れるのがいいそうだ。

沸騰したお湯を湯のみ茶碗などに移し、温度を下げる。

旨味が強いお茶は70℃。玉露は50℃。

「抽出時間は、茶葉に含まれる旨味と温度に比例します」(加藤さん)

旨味が強い御茶は、70℃のお湯をそそぎ、50秒で注ぐ。
それ以上抽出すると渋くなるそうだ。

玉露の場合、50℃のお湯を注いだら、90秒から2分で注ぐ。

「弊社の茶葉は深蒸しなので、高温のお湯で抽出すると苦くなります。80℃ぐらいのお湯を注いだら、40秒で注いでください」

静岡のお茶農家は熱いお茶を好んで飲むそうだ。

「ややぬるいお茶を出すと、『もっと温度を上げて』と頼まれます」

日本茶には美味しい淹れ方がある。が、それはあくまでも一般論。必ずしも万人にとって美味しい淹れ方ではないことも覚えておこう。