個性的な「お茶スイーツ」も絶品!

伝統を重んじつつ、お茶の可能性を探求するカネ十農園が開発した、ユニークなスイーツを紹介する。
そのひとつが、「カネ十あんみつ桜」(750円)である。

甘味処でもあんみつを出しているが、茶農園のあんみつはひと味もふた味も違っていた。
お茶を使った白玉や寒天がはいっているのである。

その他、桜を使った桜あん、桜アイスクリーム、桜あんチーズホイップが盛られている。

目にも鮮やかな「カネ十あんみつ桜」が琉球畳を使ったテーブルに登場した瞬間、(おや!)と驚くはずだ。

しかも、追い打ちをかけるように、煎茶蜜を眼の前でかけてくれる。

色とりどりのあんみつ桜。(さあ、どれから食べようか)と悩むのも楽しいものだ。
せっかくなので、茶を練りこんだ白玉から食べてみた。

白玉そのものにはあまり味はないが、茶を使うことでやや苦味のある白玉に仕上がっていた。

白玉といえば、鬼平である。鬼平こと長谷川平蔵は、白玉団子が大好物だった。
池波正太郎の『鬼平犯科帳』には、鬼平が白玉団子を食べるシーンが登場する。

鬼平の時代は、ふつうの白玉が一般的だったはずだ。
まさかお茶を使った、手の混んだ白玉はなかったであろう。
鬼平が、お茶を用いた白玉を見たらなんというか。想像するだけで面白い。

「茶」の文字が刻まれたモナカがあしらわれている。
そのままかじってもいいが、桜アイスクリームや桜餡をのせて食べても乙かもしれない。
が、それに気づく前に食べてしまった。大失敗。

もうひとつスイーツがある。「一番茶チーズホイップティー」(700円〜)だ。

一番茶の上に、真っ白いクリームチーズと、ホイップクリームを合わせたチーズホイップをあしらった一品。
さらにその上には、一番茶の粉挽きを使った塩をトッピング。

ストローでチーズホイップだけを食べると、甘さの奥に塩味を感じる、不思議なスイーツを体験できる。

春には春のお茶を使ったスイーツを鑑賞させてくれる。
夏はどんなスイーツが登場するのか、目が離せない。

※価格はすべて税込

【カネ十農園 表参道】
住所/東京都渋谷区神宮前4-1-22
電話/03-6812-9637
営業/11時〜19時(LO18時30分)
定休/月曜

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。