もうすぐ春。小学校入学というおめでたいシーズンではありますが、ややナーバスになっているママもいるのではないでしょうか。

保育園、幼稚園までは子どもの主体性を重んじて、比較的のびのび育てていたママほど、小学校でうまくやっていけるか、不安に思うかもしれませんね。

ママたちが恐れているのは、どんなことでしょうか。

  • 授業中、ちゃんと座っていられるかしら。
  • 先生の言うことを理解できるかしら。
  • トイレに行きたいとちゃんと言えるかしら。

“小1プロブレム”(小1問題)という言葉を聞いたことはありますか?

小1プロブレムとは、小学校に入学した1年生が、それまでとはまったく違う学校という環境になじめないがために起こす問題の数々や、そういった状況そのものを意味します。具体的には、上記に挙げたような行動に当たります。

一方、小1プロブレムは日本特有の現象だとする意見もあります。ともすれば子ども側の問題とされがちな小1プロブレムですが、問題の根っこは実は別のところにあるのかもしれません。

つい、問題を回避するために、事前になにかしなくては、という守りの思考経路になるかもしれませんが、親子ともども、新生活を楽しく迎えられるように、積極的に考えてみてはいかがでしょうか。

小児科のぼくが伝えたい 最高の子育て』が好評の高橋孝雄先生のコメントも交えて、必要以上に小1プロブレムを恐れない方法をご紹介します。

小1プロブレムはなぜ起こる?

保育園などでは、入園前に、慣らし保育の期間をとるのが一般的です。また、企業だったら、入社前に内定者を対象にした研修を行いますよね。それに対して、小学校にはそれがありません。

そもそも3月まで自分の好奇心のままに遊んでいた子どもに、4月になったとたん、いきなり一定時間、椅子に座らせること自体、かなりの難易度なのではないでしょうか。

日本の小学校の授業形態は、全員が同じ方向を向いて行う一斉授業です。欧米では、公立であっても、一斉授業のスタイルはあまり見られず、生徒たちは個人、もしくはグループに分かれて、それぞれの課題に取り組むそうです。

昨今、多様性は大事だと言われるようにはなってきましたが、教育の現場にはまだ浸透しておらず、「みんな一緒」であることがデフォルトなのですね。

学校側も小1プロブレムをおそれている?

6歳の娘がいるAさんは、先日、小学校で行われた入学前の保護者向けの説明会に参加してきました。説明会には新1年生の保護者が一堂に集められ、教頭先生が1年生になる心構えを話されたそうです。

Aさんが感じたのは、学校側には、「1年生になるにあたって子どもはこうあるべき」という理想像があるのだな、ということ。

入学してからその像に近づけていくのではなく、年長の3学期から準備期間はもう始まっている、ということを強調する学校側の話に、やや戸惑いをおぼえたそうです。

また、生活面に話が及ぶと、「早寝早起き、朝ご飯朝ウンチ!」を連呼。Aさんの娘は毎日決まって、夕食前に排便します。早寝早起き朝ご飯はともかく、朝、排便の習慣がない子どももしなくてはいけないのかと思ったそうです。

「とにかく、決まり事が多いと感じました。それも、子どものためにある決まりではなく、学校行事や授業をスムーズに進行させるための決まりみたいです。

たとえば、体操袋のヒモの長さから、防災頭巾のヒモの長さまで決まっているんです。それから驚いたのは、子どもに和式便器の使い方を教えてくださいと言われたことです。

理由は”汚れるから”だそうです。トイレに関する注意は多く、“授業中でも、トイレに行きたいと我慢せずに言える子どもを育てています“とも言っていました」

説明会が終わった後、Aさんの胸には、我が子が1年生になる喜びよりも、不安の方が上回っていたそうです。

Aさんの話を聞いて筆者が思ったことは、学校側も1年生を迎えるのが不安なのだな、ということでした。