――子どもが朝から疲れている、というのは似合わない気がするのですが・・。

清水「2011年に著書を出版させていただいた際、お世話になった子育て支援施設で初めて講座をさせていただいた時、当時の参加者の方たちに、赤ちゃんを何時に寝かせていますかと聞くと、たいがい10時以降で、なかには夜中の1時とか2時の人もいました」

――それは、完全に親の生活に合わせた時間帯ですね。

清水「ドイツの平均的な赤ちゃんを寝かせる時間は、6時48分なんだそうです」

――ドイツ、すごいですね!でもそれは、夕方には、両親そろって帰宅していて、夕飯を食べるのもきっと早いんでしょうね。

清水「そうだと思います」

――うらやましいですね。

清水「ですが、私の本が出た2011年以来、年々、講座を通して年々、早寝のご家庭が増えていっている感覚はあります。今、講座に来てくださる方は、意識が高いというのもあるかもしれませんが、だいたい8時か9時には寝かせているという方が多いですね。

“子どもは早く寝かさないと””早く寝かせる必要がある“という意識は高まっていると感じています。

――清水先生の本の力ですね!

清水「ありがとうございます!(笑)」

パパを協力者にするには?

――ただ、実際に生活を見直すとなると、パパもいるし、他のきょうだいもいたりで、家族の理解と協力をいかに得るかという第二の問題がでてくると思うのですが、今回出版されたこの本は、マンガなのですごく読みやすいですよね。パパに理解してもらうのに役立ちそうです。

清水「ある方は、旦那さんに読んでと言うと絶対に読んでくれないから、トイレに置いておくという作戦をとった人がいました」

――なるほど! さりげなく、いいですね。

清水「何か置いてあると、パラパラ手に取って読んでくれたみたいです」

――どこから読んでもいいわけですもんね。マンガのイラストも、すごくリアルで、わかるわかるとうなずいてしまいました。イラストレーターの方も、実際に子育てしている方なんですよね?

清水「そうなんです。本当に上手に必要なところをピックアップしてくださって、わかりやすいイラストで描いていただきました」

――それと、パパが協力的かそうでないか以前に、ママの方がパパにすごく気を使ってしまう家庭って多くないですか? 明日の仕事に響くから泣かせないように、泣かせないようにして。で、使えるテクニックがおっぱいくらいだから、必要以上に泣くとすぐおっぱいをあげたりして。

清水「そうですね。私もそうでした。今は女性の方が強くなったとも言われますけれど、でも夫婦関係をみていると、すごくご主人に気を使っている方はいらっしゃいますよね。

うちの主人も朝5時出て、夜11時に帰ってくるような生活だったのですが、ただ主人は子どもが泣いていることにまったく気づいていなかったですね(笑)」

――男性ってそういう人が本当に多いですよね。私も、実際に子育てをするまでは知りませんでした。自分だけかと思ったら、あっちでもこっちでも同じような話を聞いて」

清水「起きる男性もいるようなのですが、起きたら起きたで、奥さんの方は悩みを抱えていて、優しいご主人ならいいのですが、なかには“うるさいな”ってつぶやく人もいるみたいで・・・・」

――それは、ひどいです!

清水「起きてもなにもできないなら寝ていてほしいと思う方もいるようです・・・・こうなってくると、赤ちゃんの夜泣きの悩みというより、家庭全体の悩みになってきますね」

――日本の家屋は狭いので、小さいうちは川の字で寝ているという家庭も多いですよね。でもいちばん身近な人と協力して子育てをしていきたいと思う人は多いのですし、なんとかしたいですよね。

清水「本当にそう思います、手遅れにならないうちに、ご主人にも読んでいただきたいです。
うちも主人は本当に仕事が忙しくて、土曜日も仕事のことが多くありました。

でも、なんとか私が自分の気持ちを保てたのは、“日曜の午前中だけお散歩に行ってきたら”と主人が言ってくれたからです。それがなかったら、私つぶれてたと思います。

――自分を取り戻す時間、大切ですよね。

清水「子どもが赤ちゃんの頃のパートナーへの恨みって、年をとっても残りますからね。熟年離婚の理由が、子育ての時期など、自分が大変な時に手伝ってくれなかったからというケースは多いと聞きます」

――本のなかに、帰宅が遅くなっても赤ちゃんとお風呂に入りたがるパパと、寝かしつけの時間が遅くなることで困惑するママの話がありますが、これはたとえば、お風呂の時間を夜ではなく、朝にしたてもいいわけですよね」

清水「そうですね。ご家庭にあわせて、パパママ両方にいいようなやり方をみつけていくのがいいと思います」

――そのためにはまず、トイレにこの一冊を置くことですね!(笑)