『城中豆花』(城中市場)
『城中豆花』の豆花
台北駅周辺は常に人や車でごった返している。さらに駅の南側、新光三越ビルの裏手ではカラフルな商業看板が主張し合い、予備校や語学学校に通う若者が行き交っている。
そんななか、こつ然と姿を現す人間臭い空間が城中市場。地元中高年の憩いの場として、朝から昼過ぎまで、ここだけはゆったりと時間が流れている。
この市場で60年近く変わらぬ味を守っている豆花屋台が『城中豆花』だ。大豆がふわっと香る豆花に、ほんのり甘いシロップ。トッピングのタロイモや緑豆は、もちろん女将さんの手作りだ。
『城中豆花』は屋台のカウンターと簡易テーブルだけの小さな店
先代から引き継いだ屋台で商売を続ける彼女は、大豆イソフラボン効果なのか、いつも若々しい。市場のお母さんのような、気さくな女将さんの笑顔に引き寄せられ、ついまた豆花を食べに出かけてしまう。
ときどき、少々いかつい男性が屋台に立っていることがあるが、彼は息子さんで3代目。
城中市場は店どうしも仲がよく、『城中豆花』の女将さんが席を外しているとき店に訪れると、向かい野菜売りのおばちゃんが「豆花の女将さんなら、もうすぐ戻ってくるよ」なんて教えてくれたりする。
小さな屋台ひとつでも、こんなふうに2代目、3代目へと引き継がれる味。スターバックスやおしゃれなカフェがいたるところにでき、西洋的な洗練が進んできた台北だが、豆花文化はけっして消えることはない。
『城中豆花』(チェンジョンドウホァ)
台北市漢口街一段80巷 8:00~18:00 月曜休(雨天の祭日は臨時休業することも)
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