きだ:僕もターゲットに子どもたちがいるのを、今回とても意識しました。

若い人からお年寄りまで、男も女もわかるものを、というのをいつも以上に意識して、芝居をシンプルすることをものすごく考えました。

普通だったら、雰囲気でわかってよ、というあからさまじゃない芝居をわざと組んでるです。

今回はそういうグレーな部分をなくして、笑ってる、泣いてる、怒ってるみたいにシンプルな芝居で組んでる。

きだ:シンプルになればなるほど、お芝居がヘタだとバレるんですよ。ちゃんと笑う、ちゃんと怒るって実は難しいんですよね。

この仕事が決まって稽古が始まったときに、「うわあ、これはどえらい仕事引き受けちゃったな」と一瞬思ったの。

子どもたちにわかるようにやらなきゃって前提はあるけど、あんまり説明すると、子どもはそんなに説明しなくてもいいよ、ってなるから、そのバランスがすごい難しくて、それが新鮮で反応が面白いな、と思っています。

一応僕らが仕掛けているタイミングがあるんですけど、本当に予想しないところで子どもが笑って、「え?ここウケちゃうんだ」とか、「ここでザワザワするんだ」とか。

――何十公演も公演を重ねてきて、スタート時と変わってきた部分はありますか?

良輔:大きくは変えられないですけど、遊べるところが出てきたというか、ちょいちょい変わってはいます。

真央:稽古場の時にやってたやつを、最近やってないね、って言ってやってみたりとか。

良輔:あとは単純に俺の場合は、兄弟愛がやればやるほど深まっているのかな、と思います(笑)。

ステージ上でもそうですけど、裏でも、普通のやりとりで感じますね。

あと個々の関係性がより深まってきているのを感じます。

ジョージとブックスの仲とか、ジェラルドの一匹狼感とか。

回を重ねて変わってきてるからこそ、余計に変わってなかったり気になるところがあると、「あそこ変だったよね」みたいな話を終わった時にするようになりましたね。

きだ:それはいい傾向だね。

そういう違和感とかを感じ合っていけると面白い。

今回のステージって公演期間が長いじゃん。

今まで経験したことのない回数のステージをみんながどう乗り切っていくんだろう、って興味があるんだよね。

良輔:本当に油断できない。真央も言ってたけど、慣れない。慣れたら終わるっていう危機感はあるかもしれないです。

――ねずみ男子という設定についてはどう思われましたか?

真央:正直、みんな自分が“ねずみ”だって一瞬でも忘れたことあるでしょ(笑)。

坂垣:ありますね、真央さんに直々に注意受けました。

耳に両手を当てるシーンで、頭の上に付けている耳じゃなくて、自分の本当の耳に手を当てちゃったんですよ(笑)。

真央:俺だけ頭の上の耳に手を当ててるから、「お前ら耳どこについてんだよ!」って言って。 良輔:「みんな間違ってる」って、真央に怒られましたね。

きだ:擬人化してるから、ほっとくとどんどん人間に寄っていくからね。それに、ねずみの仕草とかも入れてないしな。