幕が切って落とされると、リフターの上に並ぶ7人の姿。2014年6月の日本デビューからわずか1年半での単独アリーナ公演。今回は生バンドのサウンドでの進行だ。1万2000人の大歓声に迎えられたメンバーは、『Hold Me Tight』『Let Me Know』でしっかりと声を届け、観客の目と耳を引き付けていく。あえてダンスを封印した雰囲気たっぷりのオープニングから一変、「横アリにお越しの皆さん、ようこそ!」(RAP MONSTER/ラップモンスター)、「皆さんの歓声が聞きたかったです!!」(JUNG KOOK/ジョングク)と満面の笑みではしゃぐメンバー。そんなギャップある姿も観客の心を捉えていくようだ。
次のパートは、デビュー曲『NO MORE DREAM -Japanese Ver.-』と、『N.O -Japanese Ver.-』を繰り出し、「思春期」へ時間を巻き戻す。防弾少年団の特徴のひとつは、空気を切り裂くようなキレのある力強いパフォーマンスと、地の底を這うような低音を利かせた攻撃的ともいえる重いサウンド。これを堪能できる両曲。「お前のBIGな夢は何?」とRAP MONSTERの問いかけから一気に、鬱々とした重くて深い音で“威嚇”すれば、いつしか会場に漂う“DOPE”な心地よさ。
しかし、次パートでは「青春」へと“成長”し空気がガラリ、『Converse High』『24/7=heaven』などで、ロマンチックとノスタルジーな雰囲気で会場を満たす。『MISS RIGHT -Japanese Ver.-』では、客席にマイクを向けるメンバー。「もっともっと大きく!」(SUGA/シュガ)という声に応えるように、会場中が大合唱。ファンの歌声に包まれる会場は、まさにハッピームード一色で、メンバーも目を細めていた。
中盤では、『花様年華 pt.2』のリード曲で韓国最新曲『RUN』を本邦初披露した。「青春=RUN」というイメージに外れず疾走感あふれるサウンドで、ジャケットをはだけさせる振りに大歓声があがる。しかし、パフォーマンスの端々には、楽曲の世界観に含まれる苦悩がにじむ。続く『Butterfly』『TOMORROW』でも、“悩める青年”は止まらない。青春とは、かくも「不安」と「儚い」ものと背中合わせだ。
『RUN』は、韓国の主要音楽配信サイトやテレビ番組で1位を獲得した。「今回のアルバム、ダイバク(「最高」の意味の造語)でしょ!」(V/ブイ)と自信をにじませる。そして、RAP MONSTERの「最後まで走れますか? A.R.M.Y(=防弾少年団のファン)走れ!」という掛け声とともに、防弾少年団の真骨頂を発揮するラストパートへ。