ひとり親世帯の貧困率は54.6%

2012年の厚生省の発表ですと、ひとり親世帯の貧困率は54.6%。
約半数が貧困と背中合わせの生活をしているのです。

OECDがまとめたレポートでも、日本のひとり親世帯の相対的貧困率はOECDに加盟する33カ国のうち、アメリカ、スペイン、イタリアをおさえ、最も高い数値となっています。

「一般的な所得の半分未満のお金で生活する人」が決して少なくない日本。
その数値は世界的にも高くなっており、また、ひとり親となった場合の貧困率は世界でトップクラスだと言えるのです。

親の貧困率が高まれば当然、子どもに十分な教育の機会を与えることが難しくなりますし、十分な医療を受ける機会を損失する可能性があります。

早急に対応しなければならない問題には間違いありませんが、この対策が十分に進んでいるかといえば「課題が多い」と、NHK報道番組ディレクターの新井直之さんは自著『チャイルド・プア2』の中で語ります。

2014年8月に子供の貧困対策に関する大網が閣議決定されましたが、柱となった「教育支援」「生活支援」「保護者の就労支援」「経済的支援」の4つは、「ほとんどが各省庁の既存の事業を並べて再構成した印象が強く、新鮮味のある施策は見当たらなかった」と同書でふり返っています。

さらに大網では貧困率を改善するために数値目標が掲げられませんでした。地方自治体の対策事業も努力目標に。

「貧困率をいつまでに何%に下げるのか。そのために、国は地方自治体と連携してどのような対策を取るのか。その結果をどう検証して次に生かすのか。そうした計画と実行と検証を繰り返してこそ、法律が実効性のあるものになるはずだ。ちなみに、子どもの貧困率を大きく下げたことで知られるイギリスは、2020年までに10%未満にする目標を掲げている」(同書より)

実際に国をあげて改善を行い、結果を出している国もあるのです。まず、我々も国民的な関心事として貧困率について考えてみなければいけません。

次世代を担う子どもたちにいつまでも苦しい環境においておくわけにはいかないのです。