「我が家は子どもの自主性を重んじる方針だから、自由にのびのびさせているの~」と言いながら、“ほったらかし育児”に陥っていませんか?

放置放任に陥らず、自由にのびのび育てるには、どうしたら良いのでしょうか。

一人でできる子になるテキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話しします。

過保護・過干渉の親が増えている一方、「子どもは自由にのびのび育てたい」と考える人も多いですよね。

子どもの自主性を伸ばす“自由のびのび育児”は“自立心を養う”メリットもありますが、一歩間違えると放置・放任になってしまうことがあります。具体的にはどうしていけばよいのでしょうか。

自由にのびのびできる条件

実は、人が自由にのびのび出来るのは、“自分の内なる声や良心”に従って、自己をコントロールする術を身に付けているからなのです。

もし、これが幼いうちから育っていなければ、我慢するための自制心が育っていないので、自分の本能に任せたまま、やりたい放題の大人になってしまいます。

実際、社会生活を送っていく上で小さい頃から規範を教えていかないと、人間社会の中で生きていけません。それは、幼稚園や保育園で集団生活を送る子どもでも同じことですね。

ほったらかして育てるとこんな風になってしまう

もし、「こうしたい」という本能の赴くまま、何をやっても制限をかけない、禁止されない育てられ方をしていると…

  • スーパーの売り物なのに、「美味しそうだから」と勝手に袋を開けて食べる
  • 友達の家にいって勝手に冷蔵庫を開けて食品を食べる
  • レストランでよそのテーブルにいってつまみ食いをする
  • 図書館で借りてきた絵本に落書きをしたり破ったりする
  • 食事の好き嫌いをし、お菓子ばかり食べている
  • 公園でブランコの順番を守らず割り込みして遊ぶ
  • ご飯も食べず、睡眠時間を削ってまでゲームをする
  • 病院の待合室のソファーでぴょんぴょん跳ねる
  • 電車やバスの中で走り回る

実は過干渉よりハードルが高い“自由にのびのび子育て”

幼稚園でも保育園でも、一斉保育が主な園と自由保育が主な園があります。

でも、両者とも給食の時間は椅子に座るようしつけたり、朝の会や帰りの会のときは部屋にいる等、一定のルールのもと保育をしています。

その中で自由保育をすれば当然、子ども達の喧嘩も頻繁に起こります。そんな中、保育者にはそれなりのスキルが求められます。コミュニケーション能力を育むために見守りながら、介入しすぎないように見守るという忍耐も必要です。

これは家庭でも同じです。

子どもを自由にさせるということは、親が手取り足とり指示を出す過保護・過干渉よりも、何倍も忍耐力が求められます。なぜなら、子どもが失敗しそうなときも、自ら考えさせるために手や口を出さずにじっと観察し、見守っていなければいけないのですから。

例えば、遅刻しそうなときも「早く、早く」と言わず子ども自身に時間管理をさせる場合、着る服ひとつ選ぶのも、子どもの意思を尊重するなど時間がかかります。

親が“こうして、ああして”とあれこれ指示したほうが早いですし、親の思い通りにはなるのですから、もしかしたらその方がずっと楽かもしれませんね。