『自縄自縛の私』(蛭田亜紗子)

「『女性が官能小説なんて読んでもいいのかな』と、自分の性欲をあらわにすることは恥ずかしい、という意識を持っている女性にぜひ読んでいただきたい作品です。この短編集には、様々なフェチを持つ女性が出てくるので。

一般的に“フェチ”というと、胸やおしり、脚など、男性の性癖をイメージしがちですが、女性にだって、大好きでたまらないマニアックな性癖があっても良いと思うんです。

『抱く・抱かれる、挿れる・挿れられるだけがセックスではない』と思えるようになると、性の世界がぐっと広がって自由になれるはず」

『プリンスは太めがお好き?』(山内詠)

「いわゆる『女女官(ジョジョカン)』と呼ばれる、女性の描く女性向けの官能レーベルから1冊選んでみました。少女漫画+官能といった内容なので、官能小説が初めての方や小説をそこまで嗜んでいない方でも、読みやすいのではないでしょうか。

すこしぽっちゃり体型ながら、可愛げがあって一生懸命で、応援したくなるヒロインが魅力です。読者にとって等身大なヒロインと、オフィスという身近な舞台・シチュエーションもとっつきやすく、楽しめる要素のひとつになっています」

『誘惑フェロモン』(睦月影郎)

「官能作家の大御所、睦月影郎先生の作品です。睦月先生の作品の特徴は“フェチ”で“匂いが感じられる”ことで有名ですが、わたしは主人公の男性が、下半身に素直で可愛らしいところが好きです。

先生は今までに500冊に届くほどの著書を刊行されていて、この作品はそのマンネリを逆手に取った今までのご自身のパロディー……ということですが、今までに官能小説を1冊も読んだことのない方でも楽しめます。

『男の人って、こんなふうに下半身に振り回されてるんだ』と勉強にもなると思います(笑)」