官能コミック
『パパと私、壊れた境界線』(石川トミー、原作:逢見るい)
「原作の逢見るいさんも官能作家です。もともと女性向けのロマンスノベルなどで活躍されていた方なので、女性がキュンとしてムラッとする作品やキャラ造形がお上手です。
人には言えない関係にある、育ての父親とヒロインとの葛藤の物語ですが、とにかくその育ての父親が素敵。ティーンズラブコミックの王道で、ドキドキと恋する切なさとジュンッとした感覚を一度に味わうことができると思います」
『窮鼠はチーズの夢を見る』(水城せとな)
「ドラマ化もされた『失恋ショコラティエ』の水城せとなさんの恋愛コミック。
主人公は男性、相手も男性――いわゆるボーイズラブです。ただ、結ばれるまでの葛藤いっぱいの心理描写が素晴らしく、あくまでも“恋愛”が主なので『男性と男性はちょっと……』と思う方に人ほど、ぜひ読んでいただきたい。わたしは、恋愛の苦しさやどうしようもなさに涙しながら身悶えました」
『あなたの奥さんもらいます』(黒澤R)
「寝取られカップルとそこに巻き込まれた主人公の若い男性との三角関係の物語。青年誌的なエロティックさは十分に満たしながらも、恋愛ゲームの主導権の取り合いがスリリングです。
作者が女性なので、女性が読むのにも十分耐え得るはず。『愛って何?』と考えてしまう一冊です」
「最初はあまり『これ』と決めることなく、いろいろと読んでみて『こういうのが好きかも』と見つけていくのも楽しいですよ」と大泉さん。官能小説家が選ぶ官能作品――。大泉さんのセレクトを参考に、新たな世界の扉を開いてみてはいかがですか。
大泉りかさん
1977年、東京都に生まれる。官能小説家&コラムニスト。SMショーのM女やキャットファイターなど、アンダーグラウンドな世界にどっぷりと浸った20代を過ごす。
2004年に『ファック・ミー・テンダー』(講談社)でデビュー。以後、官能小説や女性向けポルノノベルで活躍。
3人の女流官能作家による赤裸々トーク番組『女の秘蜜 妄想ノススメ極』(エンタメ~テレ)レギュラー出演中。『女流官能作家が教える 愛が深まる ライトSM』など、小説以外の作品も多数。