男性でも女性でもない被写体を写す“美しき”写真
1階突き当り奥には、ならもとかずやさんの撮影した写真が飾られている。ならもとさんの写真は、大島さんを男としても女としても撮影しようと試行錯誤した写真とのことだ。
大島さんのいるバーカウンターの横をすり抜けて、2階に。
2階に上がってすぐ、手前の部屋には野口恭平さんの写真が展示されている。野口さんは普段廃墟撮影をメインとしており、今回は大島さんを連れて日本一美しい廃墟と言われている廃墟での撮影を敢行。今回の写真展に合わせて、未公開のものも一点追加して展示しているそうだ。
その奥の部屋に移動すると、手前には中野雨衣子さんの写真が飾られている。中央に配置された写真が大島さんは特にお気に入りとのこと。ガーターベルトとアームカバーなどを付けて女性的に撮影されており、女性目線でぐっと惹きつけられる写真だった。
その横には、綾女牡丹さんの絵が展示されている。濃淡のある絵になるのだが、今回名古屋での展覧会開催にあたり、大島さんの写真と絵を組み合わせるという新しい試みをした作品も展示されている。
そして、相馬ドリルさんの写真を剥がしていくスタイルの展示があった。基本1点もののため、どんどん無くなっていくそうだ。取材の際にはだいぶ写真がなくなっていたが、今後補充されるそうで自分のお気に入りの写真を見つけるのも楽しそうだ。
階段を降りる前には、舞台役者の若林賢太郎さんが撮影した無声自主映画が流れていた。20名程が出演しており、映像自体を購入することが可能だった。
展覧会を回った後、大島さんにご自身の活動についてインタビューすることができた。
“大島薫”という存在が作品そのものです
――大島さんご自身、創作活動はされていますか?
音楽、写真とかは色々とやっていますね。今回はセルフポートレートも展示していて、僕も1人の作家として参加しています。元々Twitterで上がっている写真はシャッターリモコンを使って撮影していました。そのため、8月に出版されたフォトエッセイに写真を入れることになった際も、編集の方に「自分で撮影したら」と言われました。今回は、その際に撮影したものをパネルにしています。
あと、元々日本画を高校時代にやっていたので、物作りは好きですね。
――今後やりたい創作活動はありますか?
文章も勿論その1つですが、今は僕自身が作品みたいなものですね。大島薫という存在を今作っている段階なので、それに付随した何かとして表現が絵や写真になるだけでアウトプットの形が変わるだけだと思っています。
――大島さんもルックスやファッションで独自の表現をされていますが、どんなこだわりがありますか?
こだわりとしては、人に言われて何かを変えることはないですね。自分がやりたいものをやりたい様にやるのがいつでも正解なのかなと思っています。