きっかけは二次元の“男の娘”でした
――女性もののファッションやメイクをするようになったきっかけを教えて下さい。
元々男の娘ものの二次元イラストが好きで、三次元でそういった子がいないのかなと思って10年以上前に調べました。ただ、まだ男の娘という言葉もない時代で、女装癖のおじさんがやる趣味が出てきて。これは違うな……じゃあ、自分がやろうと思いました。
でも、最初は女装が似合うとは思っていなかったので、生活までガラッと変える気はありませんでした。むしろ、23歳から女装で生活をする様になってからの方が本格的ですね。Twitterで拡散される前から女装で生活していましたが、きっかけはTwitterの拡散ですね。女装で切り替えて生活を始めた段階から、大島薫を作り上げるぞという意識は既にありました。
――メイクやファッションはどんな人に憧れますか?
最初はメイク本を読みました。でも、女性がやるメイクと女装のメイクは違うというのが自分の出した結論なので、ほぼ独学ですね。2年前から本格的に勉強していきました。
“女装男子”でも“男の娘”でも、どちらでもない自分
――男の娘とは大島さんにとってどんな存在ですか?
自分では、もう既に自分を男の娘とは名乗っていないです。業界的に、女装男子と男の娘は違うという認識があります。自分から女装をして女の子に見える男子が女装男子、元から男物を着ていても女の子に見えるのが男の娘なので。僕は自ら女装をしていたので、男の娘と名乗るのは違うな、と。ただ、AV業界にいた時は男の娘と名乗った方がキャッチ―だったので、そう名乗っていました。
そういうのがなくなった今は、大島薫として認知されていきたいなと考えています。僕は今ではもう女物を着ようという意識はないんです。今着ているコートやズボンは男物なんですよ。着たいものを着て、好きなものを好きということに変わってきたので、もはやもう女装男子とか男の娘という名乗りは違うな、と。
だから僕にとって、男の娘は憧れの存在で終わってしまった感じです。二次元のキャラクターみたいになりたかったのですが、そうはなれなかったな、と。
――ずばり、どんな人がタイプですか?
僕は男性も女性も好きです。女性は、女性であるだけで愛おしい存在なので、自分の憧れの見た目で骨格的に自分にはなれない女性らしい部分を見ると惹かれることがあります。男性だと、ちょっと弱そうな人の方が可愛いなと思います。男の娘も好きだし、女装男子に対しても愛おしさを感じる様になりました。
全性愛(パンセクシャル)にあたりますが、僕は難しいので言葉にはこだわっていないです。一般から見ると同じなので。
――性に対して葛藤したことはありますか?
僕は性同一性障害ではないので、自分を女と思ったこともないです。勿論、自分自身の迷いはありました。ただ、出した結論としては、既存の男・女などの基準ではなくて僕は僕でしかないなと思っています。大島薫という活動に目覚めたきっかけでもあります。僕にとって、大島薫とは自分というものの名前なんですよね。